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魔術師ルー&ヴィー
第二章
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の力ある魔術師か、または…国家ぐるみだと…?」
 マルクアーンの言葉に、スランジェは眉を顰めて問い返した。
 すると、マルクアーンは手にしていた聖玉を光に翳しながら答えた。
「そうなるな。だが、そのどちらでも無い可能性もある。」
「どちらでも無い…?」
 その答えに、シュトゥフは首を傾げて言った。
 しかし、ルーファスは何か気付いた様で、フッとマルクアーンへ視線を向けた。
「気付いた様じゃな。」
「ああ…聖グラヴィアーノの聖玉は、元来ゾンネンクラール皇家のもの。そして、術を行使した者がゾンネンクラールの皇子…なら、旧皇族の血筋なら…。」
「その通りだ。これだけ弱っていたのなら、その血筋で中級以上の魔術師であらば命じるだけで良かろう。そう考えれば、あの扉がマルクアーン家のわしの血で開いた事も頷ける。」
 その推論に、ヴィルベルトは些か疑問を感じて言った。
「何故ですか?普通なら鍵となる血筋は、ゾンネンクラール旧皇家の血筋のみなのでは?」
 そのヴィルベルトの疑問さえ、マルクアーンはさらりと返した。
「"シャッテン・ガイスト"本体は、我が姉マリアーネだ。無論、旧皇家の血筋でも開くがな。」
 その答えに、一同は納得した。
 当時、マルクアーン家はこの妖魔の件には関与しないと発表しており、その直後にシヴィッラは責任の一端を負って家を出たのである。
 故に、マルクアーン家で関わろうとするならシヴィッラ一人だが、彼女はベズーフの北の塔へ籠ったまま出てくる筈は無いと考え、この封をそれ以上の力を使わず〈関わる血筋〉で鍵を固定してしまったのだと考えられた。
 いや…完全に一つの血筋に定める力が無かっただけかも知れないが…。
「なら、犯人は旧皇家の出自…。だがのぅ、何故今更こんな回りくどい事をする必要があるんじゃ?」
 シュトゥフは再び首を傾げ、マルクアーンへと問い掛けた。
「恐らくは…旧皇家の再興が目的じゃろうな。」
 そのマルクアーンの答えには、全員が息を飲んでしまった…。
 現王家の治世は非常に安定したものになっている。戦後処理も迅速に対処し、政治的にも優れた人材に恵まれていたと言えよう。
 終戦当時、王は何よりも民の生活の向上を掲げ、新しき産業を開発したり土地の改良や整備にも手を尽くしたりと、どの国よりも先んじて復興を果たしたのだ。
 現在でもその力は衰えておらず、それでも現王家は驕ることなく、他国とも友好的な関係を築いている。
 だが、またここで他国を巻き込んだ御家騒動となれば、これまでの努力は水の泡である。
 不本意であるにしろ、皇家を引き継いで王家となったのだから、やはり平安を損なうような事態は避けたい筈である。
 しかし…よりにもよって旧皇家の者が権力を取り戻そうとしているのならば、現王家はそれを絶対的に排除
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