暁 〜小説投稿サイト〜
ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
第60話:Remain
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トシールドの隙間から抜け出ようと奴がフロストシールドに触れた瞬間に…」

液体金属が冷気に冷やされたことで固体化し、シーフォースの液状化が解除されてしまう。

「か、体が凍っていく!?」

「終わりだ!!」

チャージショットを放って頭部に掠らせると、電子頭脳に巣食っていたワームが破壊された。

チャージショットの衝撃で氷が砕かれるのと同時に液状化をするシーフォース。

「何?逃げられるのか!?」

「頭部を強打したのにまだ動けるのか!?でも、メインプログラムとコントロールユニットに異常があるようだ…水に同化出来ていない…」

液状化した金属は水に浮かんだまま、何処かへと向かっていく。

「とにかく追うぞ!!」

「あ、ああ…(シーフォースを突き動かしているのは一体何なんだ…?無理をした再起動出来なくなる状態なのに…)」

液体金属のレプリロイドは普通のレプリロイドよりもずっと繊細なために無理な運用をすると再起動が出来なくなるのだ。

シーフォースを追い掛けると、巨木の前に出た。

「ダムの底にこんな巨木があったのか…?」

「奴はあの上か…」

「あの上に何が…」

壁蹴りで巨木の上に登ると、水草が足場となっていた。

「木の上は水草で出来た草原なのか」

足場になるほどに生い茂った水草に年月の経過を感じるエックスだが、シーフォースを発見したゼロが叫ぶ。

「エックス!!シーフォースがいたぞ!…ん?奴の行く先にあるのは?」

「え?あれは…」

シーフォースが向かう先には機能停止した女性型レプリロイド。

彼女の体を抱き締めると液状化を始めた。

「シーフォース!!その状態でそんなことをしたらメインプログラムが復帰不可能になるぞ!!」

止めようと駆け出すエックスだが、ゼロに肩を掴まれて止められる。

「ゼロ!?」

「帰投するぞ」

「シーフォースはどうするんだ?」

「これ以上は無粋だろう。それにダムを占拠していたあいつはもういない。ここにいても時間の無駄だ」

「…………」

エックスは思い出していた。

シーフォースがこの遺跡を“聖地”と言っていたことを。

“自分は既に死んでいる”と言ったことを…。

しかしその言葉の本当に意味することはもう知る由もなかった。

…その後、再びダムは本来の機能を取り戻し、遺跡は静かな眠りについた。

そして誰も知らない…。

メタルリキッドに抱かれたレプリロイドが優しく佇んでいるのを…。
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