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人理を守れ、エミヤさん!
「封鎖戦域クイーンアンズ・リベンジ」
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弓使いであるアタランテの動体視力すら追い付かぬそれは、人理最速の誉れも高い『駿足のアキレウス』にも匹敵するのではないか。
 速さは駿足の英雄に近い、しかしその技量と巧みさは確実にクー・フーリンが上であろう。戦歴が違う、潜った修羅場の数が違い、下した強敵の数も知れぬ。クー・フーリンは事実、ヘラクレスに匹敵する『最強』だった。

 だがその光の御子を前に、アルケイデスは一歩も引かない。防戦に徹するやただの一度も被弾せず拮抗状態を作り出している。攻める気概のない姿勢は、これが一騎討ちではない故だ。地面と平行に降り注ぐ真紅の雨の如き槍光は、魔槍が数十本に分裂しているかのような残像を生み、アルケイデスをその場に縫い付けている。
 光の御子の背後より黒き騎士王が飛び出した。
 剣の技巧という一点に於いて、騎士王は確かにヘラクレスやクー・フーリンに劣っている。されど戦巧者としての彼女は負けていない。類い稀な勝負勘、ジェット噴射のように魔力放出を加えた剣撃はアルケイデスの一撃を凌駕する。そしてオルタはアルトリアよりも攻撃の重さでは上だ。侮ればその黒獅子の牙に喉笛を食い千切られよう。
 アルケイデスは即座に、そして躊躇う素振りすらなく腕を楯とした。魔槍の穂先が貫通する。筋肉を固め魔槍が抜けぬようにした刹那、戦神の軍帯より魔大剣を握る腕に神気が渡る。
 振り抜いた魔大剣はオルタをも弾き飛ばした。自身渾身の魔力放出を乗せ、黒き聖剣を柱のように伸長した魔力の束を叩きつけようとした瞬間の事である。自らの一撃を優に越えて見せた反撃にオルタは面食らうも、

「――間抜け」

 腕に突き刺さっていた穂先より呪詛が弾ける。千の棘が炸裂し、アルケイデスの左腕が内側から爆発した。鮮血に血と骨が混ざり、光の御子が魔槍を引く。だがアルケイデスは欠片も怯まない。オルタを弾き飛ばした瞬間から構えを取り、正面のクー・フーリンが己の左腕を破壊したのと同時に呟いていた。

 射殺す百頭、と。

 確実に捉えた九連撃。一つの斬撃が九つ、ほぼ同時に放たれる。しかしクー・フーリンは魔槍を引き抜くや、柄をしならせ、勢いよく船の甲板を叩きその反動で高く跳躍していた。
 不利な間合いから間髪を入れずに離脱する仕切り直し。アルケイデスの奥義は空振り、槍の間合いの外へ軽やかに着地したクー・フーリンは油断も慢心もなく静かに敵を見据える。

「今のを避けるか……」

 それは自身へ向けた囁きである。アルケイデスは見るも無惨な左腕の有り様を一瞥した。するとグジュ、と肉が迫り上がり、沸騰するようにして元の形を取り戻す。再生した左腕の動作を確認する復讐者に、クー・フーリンは怪訝そうにした。

「解せねぇな」
「何がだ、光の御子」
「テメェ、その力は誰に恵んで貰った? 英霊の業にしちゃ、そ
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