磯風に教える、提督流オトコ飯・1
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「司令官、頼む!この通りだ!」
「って言われてもなぁ……」
目の前には土下座のまま、有らん限りの声量で叫ぶ磯風の姿がある。いつかは来るんじゃないかと予想してたが、出来れば来ないで欲しいなぁと思っていたイベント。
『磯風に料理を教える』
「浜風や浦風、それに諸先輩方から聞いたのだ!司令はあの比叡さんの料理下手を克服させたと!」
「あ〜、まぁ、そんな事もあったなぁ」
「あの比叡さんだぞ!?飯マズ過ぎて『御召艦』ならぬ『汚飯艦』なんて呼ばれてる比叡さんが治せたんだ!私の食べられないような料理も、食べられる物に出来るはずだ!」
「サラッと比叡ディスんのやめーや」
確かに、ウチの比叡に泣き付かれて料理の指導をした事はある。そして今では決して料理が上手いとはお世辞にも言えなくとも、人並みには出来るようになった。その評判を聞き付けて、他の鎮守府の比叡にまで料理を教えてくれ、と頼まれる程だ。
だが、それは本人の意識改革と絶え間ない努力のお陰だ。俺もきっかけ作りと技術的な指導はしたが、基本は比叡本人が料理が上手くなりたいと純粋に学んで、それを未だに実践している結果だ。
「お前、本当に料理が上手くなりたいと思ってんのか?」
「……もう、嫌なんだ。私が台所に立とうとする度に浜風や浦風、他の皆の顔が僅かに歪むのを見るのは」
……皆必死にポーカーフェイスを演じようとしてるんだろうなぁ。だが、本能的な忌避感は拭い切れない。それは生物的な危機回避をしようとする本能の部分だからだ。
「解った。料理は教えてやる」
「ほ、本当か!?」
「ただし!その前にお前がどんだけ飯マズなのかをキッチリと自覚させる事から始める」
「わ、わかった……」
使うのは俺が比叡に飯マズを自覚させる為に見つけた、『飯マズ6ヶ条』だ。これに半分以上当て嵌まると、そいつは飯マズの可能性が非常に高い。
1.飯マズは味見をしない。
よく聞く話だが、飯マズの人間は料理は作るクセに味見はしない。それも、頑ななまでに。味見は摘まみ食いではなく、味の調整に必要不可欠な物だ。だから味見をしてくれ、死人が出る前に。
2.飯マズは計量道具を使わない。
『調味料は目分量で入れる』。プロの料理人や何十年も家庭料理をこなしてきたベテラン主婦(主夫)の人達なら安心して見てられるが、料理をあまりした事が無い人やましてや飯マズがそれをやると大惨事を引き起こすのがお約束のパターン。なのに計量道具を使わない。なんでや。知り合ってすぐの人が怪しいと思ったら、『大さじって何mlだったっけ?』としれっと聞いてみよう。『量った事無いから解んない』『大さじってスプーンの奴でしょ?5ml位じゃないの?』とい
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ