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3章 穏やかな日々
29話 あの日の出来事
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の呆れも混じっている。だが、そんなキリトをよそに…

「ちょ、キリ、キリト、それ…っ!お、可笑しすぎ…っ??」
「違和感がありすぎて…っ!」


 リアは腹を抱えて笑い転げ、ツカサも抑えきれない笑いが漏れ、最終的には吹き出した。こんなに大笑いしている2人は今の今まで見たことがなかったため、キリトとアスナはきょとんとするが、やがてキリトは頬を膨らませた。

「リア姉もツカサもそんなに笑うことないだろ!?」

「ご、ごめん…面白すぎて…っ!」
「これで笑うなとか…無理があるって…っ」

 リアは笑いをこらえるためしゃがみこみ、ツカサは口元に手をやった。あまりにキリトに似合わないその恰好は、リアとツカサのツボにドンピシャだったようだ。2人が再び話せるまで復活したのは5分後のことである。


―?―?―?―?―?―?―?―?―?―

 ようやく2人の笑いが収まり、キリトはベッド、アスナは窓枠、リアとツカサは椅子に座り落ち着く。

「そっか…またギルドに入るのか…」

 ぽつりとリアがつぶやく。

「ああ…」

 相槌を打つキリトの横顔が、少しだけこわばる。ツカサもやや心配そうな目でキリトを見ている。それもそうだ、リアもツカサも、キリトの前を知っているからこそ、キリトがギルドに入ることをあまりよく思っていなかった。溺愛すれば、過保護にもなる。ほぼイコール関係にあるそれは、リアにも確かに備わっている。

 この中で、唯一その出来事を知らないアスナは、頭にはてなを浮かべた。


「え…またって、キリトくん、ギルドに入ってたことがあるの?」

 
 アスナが知らないのも無理はない。もう一年ほど前のことで、アスナとキリトは仲が良くなかったから知るはずはないのだ。だが、その出来事は、今のキリトを構成するうえで、大きな割合を占めている、彼にとって大きなものだ。…悪いほうの意味で。


「一度だけ、な」

 キリトはそういって、床からアスナへと視線を移す。

「あまり気持ちのいい話じゃないんだけど…」
「そ、そんな無理に話さなくてもいいよ?」

 アスナの気遣いから遠慮するが、キリトは首を振った。

「いや、アスナには、聞いてほしい…」


 アスナも真剣な目になり、ゆっくりとうなずいた。


 語られるキリトの言葉とともに、リアの頭にも、その時の情景が浮かぶ。




―?―?―?―?―?―?―?―?―?―

 その時は、まだまだ攻略速度が安定していない時だったし、新しい生活になれない人も少なからずいたため、毎日攻略と仕事で寝る時間もあまりとれていない時期だった。リアとツカサ自身も、精神的にも神経をすり減らし、かなり辛い時でもあった。そのため、キリトにあまり会う機
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