ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
3章 穏やかな日々
29話 あの日の出来事
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ちでいいだろうといった。一人で挑むのは危険だから、と。
だが、それではだめなのだ。アイテムのことも、そして一人でボスを倒すということでさえも、今は彼らへの謝罪になるような気がしてならなかった。
俺はクラインたちを無視していこうとする。が…それは阻まれた。
「キリト」
ゆっくりと振り返る。そこには、この世界で誰よりも頼れる存在の2人が、白銀の雪の上にたたずんでいた。
「私たちもついていくよ」
「リア姉…ツカサ…」
リアの優しい声と言葉に、胸の奥から何かがこみ上げ、すべてをぶちまけたい気持ちに駆られる。だが、俺はすんでのところで踏みとどまった。
「それじゃあ、意味ないんだよ…独りでやらなきゃ…」
ひどくかすれた声だった。
「独りで抱え込むなよ」
胸の奥がほっと温まるツカサの声。
「ドロップしたアイテムは何もかもお前にやる。だから、俺たち二人だけでも、連れて行けよ」
「でも…」
その時…
俺とリアがバッと後ろを振り返ったのはほぼ同時だった。索敵スキルに、後ろから近づく集団を感知したのだ。姿を現したのは…
「整竜連合…」
クラインが呟く。攻略を担う巨大ギルドの一つであるが、今の状況ではあまりよくない。彼らもキリトと同じようにボスを狙ってきたのだろうが、一人で倒したいキリトと、メンバーで倒したい整竜連合。会うはずがなく、その先にあるのは対立のみ。
だが…
「くそっ!くそったれがっ?」
クラインの叫び声が響き、彼は腰から曲刀を引き抜いて怒鳴った。
「行けッ、キリト!ここは俺らが食い止める!リアもツカサも、キリトについてってやれ!言っておくが、死ぬんじゃねえぞ!死んだらぜってぇ許さねえからな!」
「…ありがとう、クライン。このお礼はいつか必ず。…行こう、キリト、ツカサ君。もう時間がない」
「…ああ」
「……」
3人で顔を見合わせてうなずき、ワープポイントへと足を踏み入れた。
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