第二章
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「僕の巣を突き破れるかな」
「おやおや、毎回突き破っているじゃないか」
「いつも突き破れるかどうか」
「そう言うがいつも突き破っているよ」
「それが出来るかどうかだよ」
「突き破ってみせるさ」
こう言ってそしてだった。
蜂は飛ぶ速さを全く落とさずアナンシの巣を突き破ろうとした、実は彼にしてもアナンシの巣を突き破ることに自分の速さと蜘蛛の神の巣すら突き破る力に喜びを感じていたのだ。それで一気にだった。
飛んで巣に突っ込んだ、しかし。
その巣にだ、蜂は止まってしまった。普通の虫の様に巣に絡め取られてしまった。それでだった。
巣に捕まってしまいだ、アナンシに対して言った。
「これは一体」
「今回は無理だったな」
「どうして突き破れなかったんだ」
「ははは、それも当然のことだよ」
「当然?」
「そう、当然だよ」
こう蜂に言った。
「何しろこの巣は五重なのだからね」
「五重?」
「そう、巣の上にもう一つの巣を重ねて」
「また巣を重ねることを続けて」
「五重にしたのだからね」
だからだというのだ。
「いつもの様に突き破れないのさ」
「まさかそんな巣になっているなんて」
「ははは、君もいたな」
「驚かない筈がないよ」
蜂はアナンシに困った顔で言った。
「まさか五重にしているなんて」
「一重で駄目なら二重、それが五重ともなれば」
それこそというのだ。
「もうそれでだよ」
「僕でも突き破れなくなるんだね」
「そうだよ、そうそういつも突き破れないさ」
「やれやれ、君の機転に負けたかな」
「そうさ、もうこれからは僕の巣を突き破れないぞ」
「やれやれだよ」
「そうだね、では負けを認めて」
アナンシは蜂に誇らしげに告げた。
「参りましたと言うんだ」
「仕方ないね、それじゃあ」
「そうしたら出してあげよう」
巣からというのだ、この蜂も神なのでそれでアナンシも食べないのだ。神が神を食べることはないということか。
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