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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
90話:処罰
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あったが、才覚は『事業家』にあった。傍でみていて御いたわしい思いがあったし、そういう意味で私自身もフレデリック様が音楽の道で大成されつつあるのを喜ばしく思っていた。

「私としても、我々の領分で好き勝手させる訳にはいかんしな。フレデリック様の大切な方のご両親があれに手を出される事など黙って見過ごすわけにはゆかぬ。あの方が大成するほど、心の慰めになる者がたくさんいるのだから」

「たしかにな。それに事の発端になった絵の作者であるメックリンガー中佐との縁を繋いだのも俺だしな。良縁にする為にも、けじめを付けるつもりだ。手数をかけるがよろしくな」

そう言い残して、シェーンコップ男爵が入れ替わる様に伯の執務室へ歩みを進めて行った。天の邪鬼な所があるが、伯への『忠誠心』という面では、私も見習うべき所を感じる漢だ。冷静な態度を取っていても、内心はハラワタが煮えくり返っているだろう。私のとっても他人事ではない。しっかりサポートさせてもらおう。

遊戯室から玄関に向かい、同じ敷地内に新設された『オーベルシュタイン男爵邸』に向かう。今日は昼餉はフリーダ嬢と共にする予定だ。我が家の執事だったラーベナルトも妻ともども新居に移り、日々楽し気にしている。この温かい日々を守るためにも、励まねばなるまい。


宇宙歴794年 帝国歴485年 4月上旬
首都星オーディン 新無憂宮
ゲルラッハ子爵

「陛下、お呼びと聞き参上いたしました。リヒテンラーデでございます」

「ご尊顔を拝し、恐悦至極に存じます。ゲルラッハでございます」

跪いて、名乗りを上げる。既に呼び出された理由は承知している。リヒテンラーデ候から軍部系貴族にだけは『あの強欲』の矛先が向かぬようにとご指示頂いていたのに、この始末。本来ならおめおめとこの場に同席するわけにはゆかなかったが、政府系貴族には人材がいない。後始末を担当する事で処罰とする旨、すでに伝えられてはいたが、忸怩たる思いは消えていなかった。

「現在の帝国は政府・軍部・大領を持つ貴族がお互いの領分を侵さぬことでバランスを保っておった。儂も臣下たちがそれで安定するなら口出しはせぬつもりであったが......」

「ははぁ......。此度の事、面目次第もございませぬ。あの者も『公爵』という地位にございます。いつかは貴族としての責務に気づくかと存じておりましたが、その配慮も徒労に終わったようです。ここに至りましては、致し方なきかと......」

そこまで言い終えると、候は深々と頭を下げられた。私も一緒に頭を下げる。なんとか私が抑えられればこんな事にはならなかった。ふがいない気持ちが胸に広がる。

「処分としては、財務尚書からの罷免、相当な金額の罰金をと考えております。これをもって一罰百戒とさせていただければ幸いに
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