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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
90話:処罰
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存じます」

「うむ。それで軍部系貴族が納得するのじゃろうか?儂の手元にも資料は届いておるが、下級貴族や商人相手に殺人・恐喝・詐欺のオンパレード。その上、今回の件じゃ。そのような対応で軍部が納得するとは思えぬが?穏便にと配慮したにも関わらず、宮廷警察は見逃す判断をしたのも良くなかったな。このままでいけば『政府全体』が今回の件の共犯者だと判断しかねぬぞ?」

「しかしながら曲がりなりにも『公爵家』です。これ以上となると『お取り潰し』となりますが、そうなれば門閥貴族がどう判断するかわかりませぬ。バランスを取る意味でも良かろうと判断したのですが......」

「その判断では軍部が納得せぬ以上、バランスは崩れる。まずは直近の問題を優先すべきではないかな?それを誰がどう判断するか?は、問題を片づけてから取り組めば良かろう?軍部の政府への不信感はかなりの物じゃ。自ずと答えは出ておろう?」

『公爵家』がお取り潰しになるなど、大逆罪以外では前例のない話だ。門閥貴族の反応を考えれば候はそこまで踏み込めなかったのであろうが、自分たちが役目を果たす中で、横目に映る政府は、汚職と麻薬にまみれ、自浄作用もないとなれば厳しい目を向けられるのも致し方ないだろう。しかしながら『公爵家』を取り潰すまでの判断がされるとは私も思っていなかった。

「では、『お取り潰し』という事で、私の方で判断を下します。確かに宮廷警察までも関与した以上、今回の件は軍部に配慮せねばなりますまい。大変心苦しい所でございますが、領地の接収・捜査に関しては軍部に一任する形といたします」

「それがよかろう。儂がもう少し早く決断していても良かったが、政府にだけ口を挿むわけにもゆかぬでな。苦しい判断をさせてしまったな」

そう言い残すと、陛下は内密の謁見によく使う一室から退室されていった。少なくとも『公爵家』の処分は決まったが、処分が『お取り潰し』となった以上、関与した人間も軽い処罰では済まないだろう。

「主犯に厳罰が下る以上、関係者にも相応の罰が必要になろう。本丸の捜査は軍がするとしても、拘束と余罪の有無、そして接収される財産から被害者への補償も行わねばなるまい。もう間違いはできぬ。苦労を掛けるが儂とお主で担当するしかあるまい」

候が寂し気につぶやかれた。なんとかバランスを取ろうとした結果、同じ政府系貴族がそれを壊そうとした。候からすれば地球教の件に続き、背中から撃たれたような物だろう。微力ではあるが、せめて私ぐらいは候をお支えせねば......。候の足を引っ張る政府系貴族に私は憎しみさえ感じていた。

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