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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
90話:処罰
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。開演までの時間をより有意義なものにしたいという意図と、終演後の観客たちの退館のタイミングをなだらかにする意図から、若手の芸術家の作品の展示会が併せて催された。その場で、既に売約済みの作品を、強引な手法で作品を買いたたくと評判のバイヤーが強引に買い取ろうとした。お相手はリューデリッツ伯爵家のご嫡男、アルブレヒト様だ。
それだけでもなかなか空気を読める御仁だと思うが、こちらが配慮して当人を宮廷警察に引き渡す所で留めた。かなり配慮した対応だと思うが、かの御仁の感性は我々とは異なるらしい。何を思ったのか、『面子を潰された』と判断したらしく、主催者であるヴェストパーレ男爵家のご当主夫妻への暗殺を報復措置として企てた。
宮廷警察に引き渡したバイヤーがやけに早く釈放された時点から監視を付けていたし、暗殺の実行役はすでに確保して、『丁寧な尋問』の下、過去にも商人や富裕層を相手に、同じようなことをしていたことが判明している。この状況で、政府が甘い対応をするなら軍部との衝突を覚悟しなければならない。
国務尚書のリヒテンラーデ候の判断は分からないが、陛下は『帝国の安定』の為に現在の状況を容認されている。それを壊すような『強欲な豚』など、いい加減ゴミ箱に投げ入れる時期だとご判断されるだろう。さすがに役職までは軍部系貴族が担当しないと思うが、一先ず正確な状況を関係者に通知して、手配を進めておこう。

執務室から遊戯室へ戻ると、シェーンコップ男爵が寛いでいた。この後に伯から色々とご指示を受けるのだろう。

「オーベルシュタイン卿、今回の件は恩に感じている。まさか伯との縁のきっかけがこんな因縁を持ってくるとはな。ケジメを付ける場が巡ってくるとは思わなかった」

「それを言うなら私も同様だ。まさか『劣悪遺伝子排除法』が廃法になる事が現実味を帯びる日が来るとは思ってもみなかった。新米男爵同士だが、『公爵』と言えども因果応報からは逃れられぬのだと授爵してすぐに実感するとはな」

「俺からすると、よくもまあこんな長期間のさばったものだとむしろ感心しているがな。俺との因縁はまだ5歳だった時の話だ。政府系の人材は枯渇しているようにも見える。伯の役割がさらに大きくなるかもしれんな。もっとも、ご本人はそんな事を望んでおられないのであろうが......」

シェーンコップ男爵が少し寂し気に肩をすくめる。伯の本懐が『事業家』にあることは私たちには分かっている。伯には軍人としての才覚もおありだったが、政府系貴族にでもお生まれになられていたら帝国は更に発展していただろうし、フェザーンにお生まれなら、宇宙に名をはせる大商人になられていただろう。そういう意味ではご次男のフレデリック様が音楽の道を選ばれ、大成されつつあるのは喜ばしい事なのかもしれない。
ご嫡男アルブレヒト様も本懐は軍人に
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