暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
80話:任地
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かでご一緒する機会もあるだろう。残念に思う気持ちが消えたわけではないが、前向きな気持ちで統合作戦本部に戻れるような気がした。

「それにしても唯一の心残りは、少佐とのお茶の時間が無くなることじゃな。儂も次の任地が決まるまでは、統合作戦本部に所属するが、戦力が不足している戦況では、分艦隊司令になる事は無いじゃろうし、しばらくは女房孝行することになりそうじゃ。あそこはコーヒーの香りが充満しておるからな。あまり好きな場所ではないのじゃが......」

「私も同じことを考えておりました。ただ、私が言う事ではないかもしれませんが、シトレ校長から、司令の事を聞いた覚えがあります。士官学校を卒業して少尉任官した際の指導役の下士官であられたとか。なにかと厳しく指導されたとぼやいておられた記憶があります」

「うむ。懐かしい話じゃが、あの頃は儂も血気盛んでな。預かったからには戦死させるわけには行かんとかなり厳しくしてしまったんじゃ。他にもボロディン提督やウランフ提督も儂が最初の指導役だったんじゃ。彼らの活躍を耳にするのは今でも嬉しい限りじゃな」

言ってみればビュコック司令は名将育成の請負人だった訳だが、この後には統合作戦本部では有名なもう一つの話が続く。司令の厳しい指導についていけなかった当時のパストーレ提督とムーア提督が、国防委員会への伝手を使って、司令を指導役から外したのだ。それ以来、国防委員会に近い軍人たちへの指導は、甘いものになったとも聞く。民主主義政体である以上、文民統制が原則だが、軍の人事にまで政治家が口を挿むのは正しい有り様ではないとも思う。司令にもお考えを聞いてみたい気もしたが、さすがに失礼かもしれない。ご縁があればまた話を聞く機会もあるだろうし、今日の所は止めておこう。
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