暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
79話:手合わせ
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
宇宙歴791年 帝国歴482年 1月上旬
首都星オーディン 帝国ホテル 地下多目的ホール
ジークフリード・キルヒアイス

「それまで。もう十分でしょう。お二人とも任官されるには問題ない実力をお持ちだと、小官は判断いたします」

審判役のメックリンガー中佐が手合わせの終了を告げられた。戦術シミュレーターは散々な結果だった。せめて白兵戦技位はアンネローゼ様にご安心頂ける結果を残したかったが、こちらも無残な結果となってしまった。この様な結果では任官する事をご不安に思われるはずだ。側近として、もっと何かできる事があったのではないだろうか?今更ながら、伯が『理不尽な状況を用意する』と言われた意味を噛みしめていた。
ラインハルト様は、さすがに最後の意地だろう、肩で息をしているが、何とか立ち上がっている。私も無様な姿をさらすわけには行かない。すでに足に力が入らなかったが何とか倒れこまぬように耐える。2対1でも一方的に蹂躙されたあのオフレッサー大将に一礼をして、壁際に用意されたベンチに下がる。
装甲服を脱がすのも本来なら私の役目だが、既に私も満身創痍の状態だ。メイドたちがラインハルト様の装甲服を脱がせにかかってくれた。私には、審判役のメックリンガー中佐が歩み寄り、装甲服を脱ぐのを手伝ってくれる。見届け人の席に視線を向けようとしたが

「オフレッサー大将、ミューゼル卿とキルヒアイス君はすごいだろう?君を一瞬でもひやりとさせる15歳など、この宇宙に5人はいないだろう。そのうちの2名の養育に関わるのだ。私も気を引き締めねばな......」

「伯にはかないませんな。おっしゃる通り、久々に手こずる相手でした。2対1とはいえ遅れを取る訳には参りませんからな、焦りを隠すのに苦労いたしました」

色々とラインハルト様と連携をして仕掛けたものの、動かぬ山のようにすべて捌いてしまわれたが、実際は惜しい所だったのだろうか?それとも、リューデリッツ伯の手前、多少はこちらに華を持たせようという意図なのだろうか?おそらくラインハルト様も同様のお気持ちだったのだろう、困惑される表情をされていた。それが伝わったのだろう。

「このオフレッサー、白兵戦技の事では嘘はつかぬ。だが、これ以上の研鑽が必要なのかと言うと、判断に困るな。貴殿らは艦隊司令官を志向しておるのだろう?艦隊司令官が自らトマホークを手に取り戦うなど、艦隊戦では負けが確定した状況であろう?それに強者が纏う雰囲気が出過ぎれば、この場の者はともかく、口だけのもやし参謀などは指導に困るであろうからな」

そう言うとオフレッサー大将は豪快に笑った。彼は陸戦の最前線で上げた武勲だけで大将という階級に上り詰めた方だ。安全な所から一方的な指示を出され、ご不快になられた経験がおありなのだろうか?

「オフレッサー大将、
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ