第四章
間話 国王、平和への願い
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が気になった。遠慮しているのかと思い、食べるよう勧めた。
すると。
神はまわりの出席者を見渡した後、「勝手に皿に取って食べてよいのか?」と聞いてきた。どうやら、立食形式の食事会について、その流れやマナーを何も知らなかったようだ。
国王と神との会話は、その説明から始まることになった。
――そういえば、リクが言っていたな。
国王は思い出した。リクが「神は常識がないから、このような場では心配だ」などと言っていたことを。
なるほど、心配していたことはこういうことだったのか、と思った。
立食パーティについての説明が終わると、並んでいる料理についての話や、会場になっているこの城の庭についての話など、世間話を少しだけした。
世間話をすると、すぐにわかった。
立食形式の食事会を知らなかったことも含め、人間に関しての神の知識は、細かなところで抜けている部分が多々あった。
しかし、それがおかしいことだとは思わなかった。
国王も国のトップだが、末端の組織や担当者がどのような仕事をしているのか、隅々まで把握しているわけではない。とてもそこまでは見きれないからだ。
神だってきっとそうなのだろう、と思った。神は人間の上にいる存在ではあるが、人間のことをいちいち細かいところまで見ることはできない。当然、こんな食事会のルールなど知る由もないのだ、と。
国王は雰囲気が整うと、溜めていた相談事項を一つずつ神にぶつけた。
国政に関することや外交に関すること、遺跡発掘に関することなどについて、アドバイスを求めていった。
神は国王の質問に、一つずつ丁寧に答えた。
文明崩壊よりも前のいろいろな時代を引合いに出し、それぞれの時代ではどのようなやり方をしていたのか、そして今の時代でも参考になるポイントはどの部分なのか、そのようなことを、わかりやすく説明していった。
さすがだ――国王は感心した。
神は、城の中にいる誰よりも、大きな視点からモノを捉えているようだった。
長い間人の世界を見続け、誰よりも歴史を知っている。だからこそ持てる視野の広さだろう。神の話から、国王はそう考えた。
楽しい時間は過ぎるのが速い。あっという間に時間が流れていった。
パーティにはたくさんの出席者がいる。神に挨拶をしておきたい要人は、いくらでもいることだろう。
あまり神を長い時間占領するわけにはいかないと思い、国王は質問を次で終わりにすることにした。
「最後に、せっかくの機会なので是非聞きたいことがある」
そう前置きすると、国王は最後の質問を神にぶつけた。
神は少しだけ考えた後、目を開き、腕組みを解いた。
「はっきりと答えるがよいか?」
「もちろんだ。言ってくれ」
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