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緑の楽園
第四章
第42話 お見合い
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 まだ彼はショックを受けている状態で、気持ちの整理が付いていないのだろう。
 落ち込んでいるのもあるだろうし、自分はどうすればよいのだろうという思いもあるだろうし、いろいろな気持ちが入り乱れているのかもしれない。

 ちょっと俺の突入が早すぎたか?
 こういうのは経験がないので、どうするのが正解なのかよくわからない。

「……」
「……」

 ――だ、ダメだ。空気が重苦しすぎる。窒息してしまいそうだ。
 ギブアップだ。今日はもう諦めよう。ひとまず向かいの牢に戻って、服が来たら城の自室に戻って、明日また出直そう。
 と、そう考えていたら。

 にぎやかな声が、近づいてくるのを感じた。

 入り口の方向からだ。
 頼むからあの子たちじゃありませんように――そう祈った。
 今来られると捌き切れなくなりそうだ。

 しかしその祈りもむなしく。
 さらに近づいてきた声の主たちは、明らかに孤児院の子供たちだった。
 先頭はカイルだ。

「兄ちゃん! 着替え持ってきたよ!」
「あ、ああ……ありがとう。助かるよ」

 他の子供たちも、続々と挨拶して牢の前で横に並んだ。
 エイミー、ジメイ、エド、レン、カナと、なぜかまた年齢順になっている。

「あら、本当にパンツ一枚だったのね!」

 エイミーが腰に手を当てながら、無遠慮に俺の格好を突っ込んできた。

「ちょっといろいろあってだな。まあだいたい俺が悪いんだけど」
「ふーん……その人が捕まえた人? 少し白いけどなかなかいい男じゃない」

 彼女はタケルに対しても無遠慮に感想を述べている。
 述べられた方は、どう反応してよいかわからないのだろう。助けを求めるように俺のほうを見てきた。
 もちろん俺も、どう助けたらいいのかわからない。

「で、リクさん。どうして捕まえた人と一緒のところに入ってるの?」

 エドがまた面倒な質問をしてくる。

「これはちょっとだな……一緒にお茶を飲んでいたというか」

 説明が難しく、俺の返事はあまり答えになっていない。

「せっかくなんで中に入らせてもらいましょうよ?」
「いいね。入らせてもらおう。看守さんー」

 カナが余計な提案をし、カイルが勝手にそれに同調して看守を呼んだ。

「あ。じゃあ晩ごはんもこっちに持ってくるよ。丁度大きめのちゃぶ台もあるみたいだし。レンとジメイさん、手伝ってもらっていい?」
「うん。いいよ」
「うん」

 エド、ジメイ、レンの三人は、晩飯をこちらに持ってくるらしい。
 勝手に段取りされていく。
 俺とタケルはポカーン状態である。
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