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緑の楽園
第三章
間話 処刑
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の人間に付き添われていた。
 足をとめ、少年を見る。
 そして口を開いた。

「タケルか。隠しても仕方がないので言うが、総裁より死刑を賜った」
「……!」

 少年――タケルには、ヤハラに厳しい刑が待っているということはわかっていた。
 しかし、極刑になるとまでは考えていなかった。

「な、なぜですか……。失敗したのは僕です。あなたではないはずです。それに……作戦の失敗にはイレギュラーな要素が重なったという事情があります。
 弁明はきちんとされたのですか? 文明崩壊前の人間が亜人の中枢近くにいて、作戦の障害になる――そんなことは誰にも予想できませんし、彼が我々ではなく亜人を選んだということも想定は不可能でしょう。飼い馴らされている犬がいて、我々を邪魔してきたなども普通は想定できません。酌量の余地はあるはずですが」

「タケル。私は首都における諜報活動の長だ。よって責任を取らなければならない立場にある。お前の言っている事情については、私に課せられるべき刑の重さには何ら影響を及ぼすものではない。総裁からは至極妥当な判決を頂いたと思っている」
「しかし――」

 少年は食い下がる。

「僕がもっとしっかり対応できていれば、作戦の失敗はなかったはずです。ですから僕の罪は重いでしょう。
 でもヤハラが死刑になる必要はないはずです。あなたの指揮が悪かったわけではありません。僕のはたらきが及ばなかったのと、あとは……運が悪かっただけだと思っています。僕が極刑になるのは仕方ないと思いますが、なぜあなたまで……。今からでも何とか……ならないのでしょうか……」

 ヤハラは静かに制した。

「タケル。私自身は、極刑を賜ったことに対して全く不満はない。極刑を頂いたのであれば、それに異議を申し立てず、潔く刑死することが真の人間である我々が取るべき態度だと考えている。これでよいのだ」
「あなたが良くても僕がよくありません。納得ができません。なぜ僕だけ刑死するのでは不十分なのですか」
「それは今言ったはずだ。責任はそれなりの立場の者が取らなければならない。それはお前も理解できるだろう。それに、今までお前を指導し、起用し続けたのは私だ」

 決して自棄になっているわけでもなく、ただただ、淡々と受け入れる。
 ヤハラは自らの死刑が確定された今もなお、表情一つ変えることがない。
 あまりにも生に執着しなさすぎる――少年はヤハラの態度が理解できなかった。

「なぜですか。あなたは簡単に諦めすぎです。どうして弁明しなかったのですか」
「見苦しい助命嘆願でもしてほしかったのか? お前もあの男――オオモリ・リクの見苦しい態度を見ただろう。威勢の良いことを言い放ちながら、いざ始末されようとなれば騒ぎ、震え、結局何も手がなくなるまで生にしが
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