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緑の楽園
第一章
第4話 一日目の終わり
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働いていないって、いつもは何をやっているの?」
「大学に行っている。まあ勉強をしている……ことに……なるのかな?」

 自信を持って言えるほど、きちんと勉強はしていない。

「ってことは。兄ちゃんは学者になるの?」
「あ、いや。そういうわけじゃないよ。卒業したら普通に働く予定だった」
「そうなんだ? じゃあ何で大学に行ったの?」

 彼の反応を見るに、こちらの国では大学は学者の卵だけが行く感じなのだろう。
 そうでない人間はモラトリアム期間などなく、さっさと働くというわけだ。

 自分が言うのも何だが、そのほうが合理的だと思う。
 現に、俺自身が何をしに大学に行っているのかよくわからないわけだから。

 とりあえず、このまま会話を続けると俺が惨めになる気がするので、打ち切ることにした。
 子供の無垢さは時に凶器だ。

「あー……。まあ、何となく、みんなが行っているから、かな。それより、お前そろそろ帰って休んだほうがいいんじゃないのか。仕事してきて疲れているだろ」
「オレなら平気だよ! それよりもっと話聞きたいな。兄ちゃん全然眠くないんでしょ?」
「むむむ。うーん。お前の親は心配しないのか?」

「オレ、親は居ないよ。孤児だったから」
「え? あ? そうなのか? ご、ごめん」
「大丈夫だよ、オレも言ってなかったし」
「すまん……」

 し、しまった……。
 孤児院の職員をしているということは、当然そういう可能性もあると考えるべきだった。無神経すぎだ。

「それよりもさ、もうちょっとここにいてもいいでしょ? ……あ、そうか。別に帰らなくてもいいんだ。オレこっちに泊まるよ。寝ながら話しよ!」

 そう言うと、カイルは服を一枚ずつ脱いで、下着とおぼしき恰好になった。
 そして――

 ベッドに潜り込んできた。

「うわっ? ちょ……俺はそんな趣味はないぞ」
「ん? そんな趣味って何?」

 俺を犯罪者にするつもりか――そう思ったが、どうやらそういうわけではないらしい。



***



 結局俺の半生を話す羽目になった。明日声が枯れそうだ。

 しかしまあ。
 自分で話していても薄っぺらい人生のような気がして嫌になる。
 とにかく今まで何となく学生をやってきただけで、そこに中身などはない。

 既に一通り話し終わったので、現在は記者会見の質疑応答のような形になっている。

「兄ちゃん剣術はやらなかったんだ?」
「ああ、俺のいた国では戦争が禁止されていたのもあるし。治安もいいので武器なんて要らないというか。そもそも剣を持っているだけで犯罪になるんだ。
 だから剣術なんて普通の人はやらないし、俺もやっていない。剣道ならずっとやってたけどな」

「ケン
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