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緑の楽園
第一章
第4話 一日目の終わり
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ドー? 剣術とは違うんだ?」
「ああ、違う。剣道はスポーツ……ゲームとしてやるということだな。だから使うのは真剣じゃなくて竹で出来た刀。人を斬ることが目的でやるものではないんだ」

「へえ……人を斬ることが目的じゃない、か……」
「いや、そこはそんな深読みしなくてもいいと思うぞ」
「ふーん……」

 意味を込めた発言ではなかったのだが、少年には少し引っかかったようだ。
 至近距離で俺の顔を見たまま考え込んでいた。

 ――しかし可愛い顔してるよなあ。こいつ。
 俺はそのケがないので大丈夫なのだが、そっち系の人だったら事故が起きている可能性が高いと思う。

「じゃあ戦争が禁止ってのは? 他の国も全部禁止ってことになっていれば大丈夫そうだけど、一つでも戦争するって国があったら成り立たなくない?
 他の国からいきなり攻められたらどうするのさ。よそに攻め込むのは禁止だけど、国を守って戦うのは禁止じゃないってこと?」

「お前、頭の回転いいな。一応そういうことになるのかな。国を守る部隊は一応ある。あとは強い同盟国がいるから、簡単に手を出されないってのはあるのかも。
 ああそうだ。あとは国と国との紛争を解決する機関があったりするな。まあ公民の授業はほとんど寝てたし、俺もあまり詳しくないけど」

「授業で寝てた?」
「ん? そこに驚くのか。こっちでは授業サボったり寝てたりはしないのか」
「そりゃそうだよ。そっちでも先生にお願いして教えてもらうんだよね? そんなことしたら二度と教えてくれなくなるかもしれないじゃんか」

 なるほど、と思った。

「そうか。意識が全然違うんだな。多分お前の感覚があるべき姿なんだろうと思う。
 もっと驚かせてやろうか? こっちの国では、学校にいれば特にお願いしなくても先生が勝手に教室にやってきて、モノを教えてくれる。
 それが当たり前になっているから、そのことをありがたいと思っている学生はまずいない。だから緊張感もないし、眠ければ寝る」

「…………」

 ぽかーんとしている。絶句したか。

「やっぱりびっくりしたか」
「……うん。びっくりした。でも兄ちゃんの国、平和で剣術を習わなくても安全だし、誰でも教えてもらえる学校があるんだ。それってすごいよ」

 なぜそうなるのか――そう思ったが、どう思うのかは本人の勝手だ。
 喋りくたびれた。そろそろ眠いということにして終わろうと思った。

「じゃあそろそろ――」
「あ、そうだ。霊獣様……じゃないんだっけ、クロだったね。クロとの関係も聞いていい? 二人がどうやって知り合ったのかというところから」

 終われなかった。

「クロは捨て犬だったんだ。仔犬のときに、公園のトイレの横で、段ボールに入れられた状態で捨てられて
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