暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
第159話「追い込まれる」
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       =椿side=







 悪路王が京都に向かったのを見送り、改めて私たちは優輝を起こしに向かう。
 まだ優輝を守っていた結界は健在で、他の妖に襲われる事もなかった。

「………」

 だけど、その途中で私は足を止める事になる。

「……かやちゃん」

「ええ。……まだ、終わらないみたいね」

 振り返る。
 そこには、薔薇姫が持っていた瘴気が、そのまま残っていた。

「……なるほどね。あの薔薇姫は、他の守護者や妖と違って、幽世の門を基点としていない。だから、ただ倒しただけだと……」

「瘴気が、残るって訳だね……」

 “薔薇姫”という器は、既に葵に還元された。
 でも、その器を動かしていた瘴気はそのまま残っていた。
 私の術で多少は削れていたけど、ほとんどそのままだった。

「……葵、転移魔法で優輝を連れて逃げられる?」

「安全第一って訳だね。……でもごめん。既に瘴気に妨害されているし、式姫の力が戻ったばかりなのか、魔法そのものが安定しないんだ」

「そう……」

 出来れば優輝だけでもアースラか、そうでなくとも安全地帯に連れて行きたかったけど、それができないのなら仕方ない。

「守り抜くわよ」

「……了解……!」

 葵がそう答えるとほぼ同時に、瘴気は辺り一帯を覆うように広がる。
 そして、現れるのは……。

「……質より量、って所かしら?」

「守りの戦いだと、確かにそっちのが有効だけど、やられる身からすれば厄介すぎるね……」

 瘴気から生まれる大量の妖。
 現在進行形で生れ落ちているからか、今は数が少ない。
 でも、すぐに処理が追いつかなくなるかもしれない。

「……やるしか、ないわね」

「……そうだね」

 霊力を矢の形にし、同じく弓の形にした霊力に番える。
 妖の出現は瘴気がある限り続くだろう。だから、瘴気を消せば終わるだろうけど……。
 この出現頻度だと、倒すのだけで精一杯だろう。

「(……早く目を覚まして、優輝……!)」

 新たな力を得ても拭えない疲労を感じながら、私達は再び戦いに身を投じた。

















       =司side=







「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

     ズゥウウン……

 山に巻きつけそうな程の巨体が、地面に沈む。
 全力で押し切ったものの、ようやく倒せた……。

「……結界で隔離して、正解だった……」

 結界内は、完全に荒れ果てていた。
 建物は灰塵、または瓦礫と化し、まさに終末を連想するような風景になっていた。

「あん
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