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フルメタル・アクションヒーローズ
第223話 黒曜の兜
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に偽装されていたこの増加装甲こそが、恐らくはラドロイバーの真の切り札。

 曝け出された増加装甲には、超小型のミサイルランチャーのような砲身が二門程伺える。こんなものまでさらに装着しようだなんて……!
 一人で世界大戦でもおっ始めようってのか、このマッドサイエンティストはッ!

呪装(じゅそう)――着鎧(ちゃくがい)

 刹那。
 ラドロイバーの、呪詛を吐くような呟きと共に。

 裏返ったコート、もとい増加装甲が――バラバラに四散し宙を舞う。
 そして主人の肢体に纏わり付くように、その全てがラドロイバーに装着されていく。
 腕に、足に、胸に、肩に。

 そして最後に――今まで露出されてきた頭にも、荘厳な兜が乗せられた。
 この兜が変形して口元を塞ぎ――そこから蒸気が噴き出す時。彼女の「着鎧」は、完了を迎える。

 漆黒の武装スーツの上に加えられた、同色の増加装甲。その両肩に乗せられた二門の超小型ミサイルランチャーが、強烈な存在感を主張していた。

 ――まさか、自分の技術だけで着鎧甲冑に近しいスーツまで作り上げていたなんてな。こっちの二段着鎧とは全く違う外見だが――スーツの性能も見た目も、ほぼ「再現」と読んで差し支えないレベルに達している。

 一見すれば、着鎧甲冑の技術を手に入れているも同然なのだが……その彼女がここまで「救済の超機龍」に固執しているということは、まだスーツの性能面ではこちらが勝っている可能性もある。
 その望みと鮎子の集中力に運命を預け――俺は、勝たねばならないのだ。この、歩いて空飛ぶ人間武器庫に。

「……コードネームは『|呪詛の後継妹(フルーフマン・シュヴェスター)』。かつて一台だけ開発されたことのある幻の着鎧甲冑『|呪詛の伝導者(フルーフマン)』の、後継機と言ったところでしょうか」
「……継がせてたまるかよ。その系譜は、ここで打ち止めだ」

 そして。あの日を思い起こさせる、月下の採石場を舞台に――最後の一戦が始まろうとしていた。

 ……ちくしょう。脇腹の傷が、疼きそうだ。

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