暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第222話 空戦拳舞
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 鎧を通し、スーツを通し、伝わる殺気。
 そこからどのような攻撃が飛んで来るのかはわからないが――受け手に徹しているばかりでは、状況は動かない。

「二段着鎧の真髄――」
『――篤とご覧あれ』

 まずはこちらから仕掛けて、手の内を引きずり出すッ!

「ホワチャアアアッ!」
『ホワチャアアアッ!』

 俺と鮎子の怪鳥音が重なると――地を蹴って飛び出す身体に、小型ジェットの加速が乗った。俺の思考と身体の動作を、彼女は確実に読み取っている。

「……ッ!」

 鎧に取り付けられた小型ジェットは蒼い炎を噴き出し、俺の飛び蹴りに猛烈な推進力を加えていた。
 それを目の当たりにしたラドロイバーは、一瞬だけ目を見開くと――後方に飛び上がり、回避行動に出る。

 今まではどこからどんな攻撃が来ても、彼女は微動だにせず受け止めてきた。その彼女が、自ら動いて避けることに専念している。
 つまり――このパワーでぶつかる攻撃は、受けきれないということだ。それを自分で理解しているから、彼女は防御より回避を選んだ。

 ならば、この勢いを確実に命中するところまで持って行けば……!

「トォアアァアアアァッ!」
『トォアアァアアアァッ!』

 俺は飛び蹴りを中断し――蹴りのために突き出した脚をその勢いのまま、地面に振り下ろす。
 そして、グラウンドに触れた俺の足でつんのめるように、身体全体が前傾姿勢になり――倒れ込む瞬間。

 もう片方の脚で大地を踏み潰すように、踏ん張りを入れる。次いで、その脚をバネに再び地面を蹴り――俺達は勢いを殺すことなく、ラドロイバーを追うように飛び上がった。

「く……!」

 さすがに予想を超えた動きだったらしく、ラドロイバーは険しい表情でこちらを睨みつける。――どうやら、一杯食わせられそうなところまで、来てるらしいなッ!
 彼女は万策尽きたのか、それ以上の動きは見せず、そのまま滞空している。これ以上の回避は無理と見た……!

「ヤァアァァアッ!」
『ヤァアァァアッ!』

 この機を逃す手はない。俺は拳を振り上げ、ラドロイバーの土手っ腹目掛けて正拳を放つ。その鉄拳に、肘の部分に付いていた小型ジェットが加勢した。
 今までとは比較にならない推力と硬度で打ち込む拳。当たれば、いくらラドロイバーでもッ――

「ん……!」
「うッ!?」

 ――とは、行かなかった。さすがに、そう簡単に決めさせてはくれないらしい。

 彼女は俺の拳を食らう直前、空中で体を捻るように回転させ――まるで新体操のような挙動で頭上を越え、俺の背後へ移動していたのだ。
 ただ高くジャンプできるというだけでは、空中でこんな芸当は出来ない。……しかし、呑気に後ろを振り返って、その実態を眺めている暇はない
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ