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フルメタル・アクションヒーローズ
第120話 歪んだ正義と狂気の幕開け
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めの舞台装置。そして今……我々の能力を以って、瀧上凱樹を捕縛出来るものと判断し、実行に移すことにしたのだ。日本政府――伊葉氏の協力のもとに、な」

 ……やはり全部、瀧上さん一人を潰すための計画だったんだ。このコンペティションも。俺達と四郷姉妹との、出会いさえも。
 ふと審判席を見上げてみれば、伊葉さんが静かに「もう下がりなさい」といいたげな視線を送っているのがわかる。……彼も、グルだったということか。

「くっ……!」

 わかりきっていたことだろうに。所長さんの話を聞いた時から、予想はついていただろうに。

 ――それでも、こんな争いに着鎧甲冑が使われることはないはずだって、期待していた自分がいるんだ。唇を噛み締めるこの痛みが、それを証明している。

「そんなっ……! じゃあ、お父様は救芽井エレクトロニクスの繁栄のために、政府とこんなことを計画してたって言うのッ!? そんなことのために、龍太君をッ――!」
「――済まないね。彼を計画に利用していた事実は、確かに許されることではないだろう。……だが、私には彼が適任であると考える他はなかったのだ」
「えっ……?」

 父親を糾弾する救芽井の叫びが終わらないうちに、甲侍郎さんは諭すように静かな口調で言葉を返し――僅かに首だけをこちらに向ける。

「救芽井エレクトロニクスの創設以降、多くの協力者が資格者と成りうる優秀な人材を提供してくれたおかげで、ここにいる精鋭九名を含めた多くのヒーローを誕生させることが出来た。……だが、問題はその『協力者』だったのだ」
「協力者が問題……?」
「そう。資格者としてアメリカ本国から推薦されたヒーロー達の多くが、軍部に関係する連中の息が掛かった者ばかりだったのだ。当時は選り好みをしていられる状況ではなかったし、資格者として採用するだけなら――と目をつぶっていたがね。……だが、この件が『人命救助』を重んじる着鎧甲冑の理に反した計画である以上、そういった連中に隙を見せるわけには行かなかった。私が直々に買い取ったこの九名に『偵察』の大役を与え、恩を売るわけにも、な」

 俺と何の関係があって、こんな話をしているのかは知らないが――恐らく、甲侍郎さんは自分が連れて来た九人さえ信用していないのだろう。それは本人達もわかっているはずだが……それでもついて来るなんて、よっぽど着鎧甲冑を使えることに感動してるんだな。

 ――相当な給料で雇われたから、とは考えたくないもんだが。

「だから、我々には『瀧上凱樹にある程度対抗出来るだけの格闘能力』を持ち、純粋に『人々の命を救うため』という救芽井家の理念を理解し、代表としてここに赴く樋稟の身柄を命懸けで守り通してくれるだけの、絶対的な信頼を置くに足る人材が必要だったのだ」
「――!」
「……だが、そ
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