暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第65話 ツルッツルの兄、ボインボインの妹
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 松霧町の裏山は、実は隣町まで行っても、うっすらと見えてしまうくらい高い。おまけに道路を通っていても、通行の邪魔になるかならないかのギリギリまで森林が生い茂っている。
 山そのものが高いために道程自体が長い上、大自然に溢れすぎてウザいくらいの緑に視界を阻まれながら進むことになるのだ。
 ……当然、時間も掛かる。

 結局、鬱陶しいくらい水と空気がおいしそうな道を抜けるまで、実に三時間を要したのだった。
 時刻は午後二時。本来なら昼食を終えてもいい時間帯だろう。

「ちょ、ちょっとぉ〜……いつまで掛かるの……?」
「申し訳ありません、樋稟お嬢様。まさかこれほど自然環境に進行を阻害されてしまうとは、予定外でした」

 この山の厄介さのおかげで昼飯を食いっぱぐれてしまった俺達三人は、腹を空かせてため息をついていた。救芽井の追及にも、オッサンはしれっと謝るだけだ。

「アタシ……お弁当持ってきたらよかった……」
「激しく同意……。俺も途中でコンビニ寄って来るんだったわ」

 元々の予定だと、久水家に招かれてから昼食を取ることになっていたらしい。それがこんなことになった今、向こうに着いてもメシがあるかどうか……。

 ――ん?

「オッサン! あそこ!?」

 俺は森に包まれた道を越えた先に伺える、白い屋敷を見つけた。それに向かって指差すと、オッサンは無言のままコクリと頷く。
 ――まるで中世ヨーロッパを思わせるような、丸みを帯びた形状の家。真ん丸な屋根をこさえたその建物は、当然ながらこの山に似つかわしいものではなかった。
 その周囲は開けた草原となっており、静かな雰囲気を醸し出している。

「あれが久水家の別荘……随分と山奥に建てたものね」
「おいおい、まさかこんな水と空気のおいしい大自然で決闘しようってのか?」
「そんなことよりお〜ひ〜る〜!」

 ここに来た本分をガン無視して昼飯の催促をする矢村。そんな彼女を一瞥した俺の脳裏に、腹ぺこによるモチベーション低下の可能性が過ぎってきた。
 ――このまま昼飯抜きで決闘、なんてことになったら面倒だろうな……。

 草原に入ると、アスファルトの道路は途切れており、砂利道だけの通路になっていた。俺達を乗せたリムジンは、そこに突入してすぐのところで停止する。

「ありがとう。ここから先は自分で行くわ。少しは歩いて、体をほぐしておかないとね」
「かしこまりました」

 救芽井はチラリと俺を見ると、車を降りてトランクへ荷物を取りに行った。……決闘する俺のコンディションを、気にしてのことだったんだろうか?

 まぁ、仮にそうだったとしても、本人にそれを直接確かめるのは野暮だろう。俺だってそれくらいはわかる。
 俺は矢村と顔を見合わせると、彼女に続いてリム
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ