暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第65話 ツルッツルの兄、ボインボインの妹
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ジンを降り、「ありがとうございました」とオッサンに一礼する。向こうも軽く会釈してくれた。

 そしてトランクから各々の荷物を回収すると、オッサンの操るリムジンは来た道を引き返して行った。また枝と葉っぱに邪魔されてるな……。

「さて、それじゃ行くわよ!」

 そんなちょっぴり不憫(?)なオッサンを見送った後、救芽井は声を張り上げて、ズンズンと砂利道を歩きはじめた。俺と矢村も、荷物を抱えて彼女に続いていく。

 やがて久水家の前にたどり着いた俺達は、見れば見るほど、田舎の裏山には場違いな屋敷を見上げる。
 山の中にこんなリッチな屋敷を建てるあたり、向こうも普通の価値観とは違う思考をお持ちのようだ。決闘しようがしまいが、一筋縄じゃいかない相手だってのは軽く予想がついちまうな……。

 今後の展開には、明るい未来は予想できそうにない。敵意モロ出しの表情で屋敷を見上げ二人に挟まれたまま、俺はひときわ大きなため息を――

「樋稟ぃぃんッ!」

 ――つくってところで、ド派手な音と共に奴(?)が現れた。

「……!? だだ、誰やッ!?」
「はぁ……とうとう出たわね」

 激しく玄関のドアを開き、勢いよくこちらに飛び出してきた男。黒いタキシードに身を包んだ、二十歳前後の容貌の青年だ。身長は――百八十くらいはある。

 歳は十九歳と聞いてたし……恐らくこの人が「久水茂」という当主さんで間違いないんだろう。

 ……だが、容姿についての前情報くらいは欲しかった。

 だって――彼、ツルッツルなんだもの。スキンヘッドなんだもの。

 眩しい太陽光という自然の恵みを受けて、神の輝きを放ってるんだもの……。

「心配したぞ樋稟っ! 昼の十二時を過ぎても一向に来ないのだから! てっきり熊にでも襲われたのかと……!」
「――茂さん、ごめんなさいね。思ったより時間が掛かっちゃったみたいで」
「そんなことは一向に構わん! ワガハイは君が無事であれば、それだけで十分だ!」

 しかも「ワガハイ」って……。妹の方も「ワタクシ」とか言っちゃってるし、ホント口調と容姿がそぐわない兄妹だな。
 両方とも顔立ちやスタイルは美形なのに、ところどころがあまりにも残念だし。
 救芽井は見飽きたように呆れた顔だし、矢村に至っては笑いを堪えるのが必死でプルプルと震えている。

 ……まぁ、スキンヘッドがタイプという女性もいるだろうけど、ちょっと人を選ぶと思うんだなー、俺も……。

「さてと……それじゃ早速で悪いんだけど、お昼の用意をしてもらえないかしら? 私達、まだ何も食べてなくって」
「ああもちろんだとも! 是非上がってくれたまえ!」

 ……おや。決闘を申し込むなんて言って来るぐらいだから、どんなおっかない奴なのかと思えば
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ