暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第64話 出発前からストレスマッハ
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 ――意識が回復した時、俺は正座していた。

 ……何を言ってるのか自分でもよくわからないんだが、とにかくそういうことになっていたのだ。

 救芽井に殴られ、暗転していた視界が元の光を取り戻した時、俺は彼女の前で正座させられていた。その隣で、矢村も同じように正座している。
 ――その矢村によると、殴られた後に無理矢理体を起こされて、気絶したまま正座させられていたらしい。ベッドか床に寝かすモンだろ、そこは普通……。

「しんっじられないっ! ノックもせずにドアを開けるなんて! 私の身体をなんだと思ってるのっ!?」

 俺がノビてる間に着替えは済んでいたらしく、緑の半袖チュニックに黒のミニスカという格好で、救芽井は俺を見下ろしていた。覗かれた怒りと恥じらいで、顔はシモフリトマトの如き赤色に染まっている。

「いやぁ……ハハハ、ある種のサプライズ的な感じにやってたんだけどさ。まさかお着替えの真っ只中でいらしたとは――ふひぃっ!?」
「そんなサプライズお断りよっ!」

 正座している膝の傍に、ドスンとじだんだを踏む救芽井。そこから発せられた振動が衝撃波となり、俺の芯に響き渡る。
 そしてその反動で僅かに翻る、彼女のきめ細かい白肌とは対照的な黒き布。おっ……白かッ!?

 一方で、俺の隣で同じように正座している矢村は、面白くなさそうな視線を救芽井に向けていた。――救芽井の、胸に。

「む、むぅ〜……! あんなにおっきいのに、まだ小さく見せとる方やったんか……!? ブラがキツキツになっとったし……」
「こ、これ以上のサイズが店に置いてなかったのよっ! 仕方ないじゃない! ……この仕事が終わったら、もっと大きいの作らせなきゃ……」

 着替えを見られて余裕をなくしているせいなのか、男の俺が傍にいるというのに、救芽井は随分とハレンチな返答をしている。市販のブラに収まらない胸って一体……。

「わ、悪かったって、勘弁してくれ! 同じマネはもうしないから!」

 ……ひとまず、この場をどうにか収めないことには、話が進展しない。俺は両手をひらひらと振り、なんとか宥めようと試みることに。
 安易な思いつきでやるもんじゃないな、サプライズってのは。

「――ふ、ふん。まぁ、今回だけは特別に許してあげる」
「ホ、ホントか?」
「……どうせ、結婚したら……好きなだけ……」
「結婚? 好きなだけ?」
「な、なんでもないっ」

 ――最後に何を言っているのかは要領を得なかったが、とりあえず許してくれたみたいで一安心だ。

 救芽井は「準備するから外で待ってて」と言うと、俺達をそそくさと追い出し、でかい肩掛けバッグになにやらいろいろと詰め込み始めていた。……まるで修学旅行だな。

「許してくれたんはええけど……救芽井
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ