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とある3年4組の卑怯者
80 旅行
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る彼女の別荘に連れていって貰って以来だった。
(あ〜、楽しみだな・・・)


 そして、旅行の日は訪れた。お互いの家族は清水駅で待ち合わせた。静岡駅から新幹線に乗り、名古屋へと向かった。リリィは新幹線の乗車を非常に満喫しているらしく、車窓から見える静岡県の街や田畑、河川を新幹線の速さを実感しながら眺めていた。
「ところで茂」
 藤木の父が息子・茂に声をかけた。
「ん?」
「お前あの子と遊園地に行った時に会った笹山って子と一体どっちが好きなんだ?」
「え!?」
 藤木は返答に詰まった。確かに藤木はリリィが好きだが、笹山も好きだった。しかし、まだ決められなかった。
「う・・・、実はどっちも好きなんだ・・・。まだどっちにするか決められないんだ・・・」
「お前、さっさと決められないと、どっちも逃げられるぞ。どっちも好きでい続ける事なんてできないからな」
「うん、そんなの卑怯だってわかってるよ。でも、諦めきれなくて・・・」
 藤木は心が迫られたような感じがした。リリィは自分にも優しくしてくれてはいるが花輪の方が好きのようだし、笹山も自分の気持ちに気づいてからはどちらかにするか待ってはくれてはいるが、いつまでも決められないと痺れを切らして、自分に愛想を尽かすのかなと藤木は思った。

 名古屋に着き、一行は特急列車に乗り換える事になった。藤木はリリィと同じ列の席に座った。列車が走行している間、藤木はリリィになぜ自分を誘ったのか質問をしようと思い、彼女に話しかけた。
「あの、リリィ・・・」
「何?」
「えっと・・・、その・・・、どうして僕なんかを誘ったんだい?」
「それは、藤木君は友達だから・・・」
 リリィは恥ずかしげに答えた。
「でも、僕よりも同じ女子のさくらとか穂波とか、あと君が好きな花輪クンとかの方がよかったんじゃないのかい?」
 リリィは花輪の名前を出されて驚いたような反応を示した。
「うん、でも花輪クンならこっちから誘うより向こうけら誘われて行く方がなんか似合う気がしたの。それに藤木君には球技大会の事で藤木君は蹴球で頑張ってたし、私の応援もしてくれたし。でも、私は藤木君の応援に行けなくて、しかも打ち上げでも話す機会がなかったから記念に旅行に連れて行こうと思ったの・・・」
 リリィは球技大会の時は花輪の方を労っていた。4組の女子は男子の5組との試合を観戦しに行ってはいたが、リリィは捻挫と突き指をした前田を保健室に連れていっていた後、他のクラスのバレーの試合を見ていて、男子の応援に行かなかった。しかも、その時はたまえと5組の橿田ひろ子との仲を修復させることを考えていたため、藤木の事を忘れていた。打ち上げの時も藤木と話す機会がなく、笹山やケン太から人づてに藤木の活躍を聞いたのだった。
「そうか、いいよ、気にしてないよ
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