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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第四十八話 出会いとは意外なとこであるものである  ★
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間違いだった。
 それ以前に海鳴を覆うのとは別に家の敷地に何らかの結界を張っている時点で近づかなければよかった。

 だけど後悔しても後の祭り。

 衛宮士郎、あいつは足を止めると同時にこちらを向いた。

「この敷地に近づく猫が野良のはずはないか。
 誰かの使い魔か? それとも姿を変えているのか?」

 確実に私に向かって投げられた問いかけ。
 内心すぐにでも逃げ出したかったけど、偶然こちらを向いたという僅かな願い抱きじっとしていたが、無駄だった。 
 私を見据え弓を構えるような動作をした。
 それだけで全身から冷や汗が出た。

 弓を構えるような動作だけだというのに番えられた矢がイメージできた。
 そしてそれは放たれれば間違いなく私を捉える事も理解出来てしまった。

 全身が震える殺気。

 模擬戦やジュエルシードの事件の映像等とは比べ物にならない。

 命を賭けた闘争。
 殺し合いを知る者が放つ事が出来る視線。

 格が、存在そのものが違う。

 本能が逃げろと叫ぶ。
 私はそれを拒む事なく受け入れ全力で駆ける。
 
「追え」

 それと同時にそんな大きな言葉ではないというのに衛宮士郎の声がはっきりと聞こえた。

 その言葉に従い私に追う鋼の鳥。
 魔法ではなく衛宮士郎が放った魔術。

 魔法だろうと魔術だろうと今捕まるわけにはいかない。

 今、最優先すべきは魔法を一切使わず海鳴の地から出るという事。
 魔法を使えば衛宮士郎に居場所が知られる事になるだろうし、何よりも掴まってクロノ達に引き渡されでもすればその時点で闇の書の存在がばれる可能性すらある。

 仮に逃げずに戦うとしても私が衛宮士郎と一対一で戦うのはあまりにもリスクが高い。

 だから私は全速力で駆け、茂みを使い、用水路を使い必死に逃れる。


 
 そして私は逃げ切った。
 走り続けた全身は悲鳴を上げ、茂みを駆け抜けた身体の至る所に小さな傷が出来、泥などで薄汚れたが逃れる事が出来た。

 それだけで十分。

 ただそれに安堵して父様とアリアの所に帰る。
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