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太陽は、いつか―――
外伝・もっとも穢れ無き物語
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置く。少なくとも一人で相対したのなら負けるのは間違いないと、その結果マスターも死ぬと分かっていたがために、戦士としての彼はそれを良しとしなかった。

「七十二柱の魔神が一柱。序列七十。セーレ。宝を発掘し、届け征く者。されど汝へ与えるものはない。ただ絶望し、ただ奪われ、ただ死にゆくがよい……!」

瞬間、柱中の目が見開かれる。何が来るのかはわからない。だが間違いなく何かをしようとしている。そうとわかった時にはもう駆けだしている。マスターを抱え上げその俊足をもって駆ける。
あれを放置すれば、間違いなく今を生きる者たちへ多大なる被害が及ぶ。だがしかし、自分が一人で挑んだとしても変わらない。ならば少しでも勝率を増やすために、マスターを避難させる。しかる後に他のサーヴァントと協力体制を敷き、そしてあれを―――

「焼却式 セーレ」

されど、魔神は容赦なく。その背へ焔を放つ。



 ☆



「無事ですか、ランサー」
「ああ、生きてるぜマスター。無事とは……ちょっと言いづらいな」

躊躇うことなく放たれた暗黒のナニカ。ランサーはそれに染められていく空間を器用に避け、その俊足を持って逃げ切った。しかし代償が何もなかったわけではなく、そのまま戦線へ復帰するのは難しいだろう。

「見せてください、ランサー。治療します」
「わり、頼む」

肉の柱から視線を逸らさないまま患部を見せ、バゼットはそこへ治療魔術を施す。どれだけ効果があるか分からないが、いざとなれば令呪で回復させるだろう。

「それで、ランサー。あれ(・・)はなんですか?」
「はっきりとはわからねえが、間違いなく世界にとって良くないものだ」
「良くないもの……」
「オレたち英雄が何人も集まって倒すべきもの、って言った方が分かりやすいか」

ケルトの大英雄クー・フーリンをして『何人もの英雄』と言わせるほどのもの。なぜそんなものが現れたのか、全く状況がつかめない。それほどの魔術を継承している家だったのだろうか……

「なあ、そこのお二方。あれが何なのか、知ってるのか?」

と、そろって注意がそれていたところに一人の男が現れた。注意がそれていたこともあり背にマスターをかばうと、その男の方が慌てたように両手を上げる。

「ちょい待った、さすがに今やり合う気はない。あんなのが現れちゃ、聖杯戦争も中断だろう」
「ま、確かにそうなんだがな。こっちはマスターが晒されてるのにそっちはサーヴァントだけ、クラスも不明だ。警戒くらいするだろうさ」
「ふむ、なるほどその通り。しっかしどうしたもんかな……」

両手を上げたままどう説得したものかと考える。目をつむり、しばらく思考した後に。

「クラスはアーチャー、真名はアーラシュ・カマンガーだ。これで足り
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