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Darkness spirits Online
第10話 宝剣の片割れ
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 ――洞窟の戦いの、翌日。死闘(ほぼ一方的な姫君による殴打)の果てにガイアンを捕えた後。

 金色のドレスに身を包むユリアヌ・リデル・イリアルダは今、イリアルダ邸の会食室の席についていた。
 その周りには、イリアルダ家に仕える騎士のテイガート、ネクサリー、そして彼らに雇われた賞金稼ぎのRが立っている。
 そんなユリアヌとR達が招かれている、煌びやかな装飾に囲まれた会食室では――スフィメラの町ではまず目にすることのないような御馳走が振舞われていた。

「さ、遠慮はいらない。存分に召し上がってくれ。……娘を救ってくれた君達には、この程度の礼では全く足りないがな」
「いえ、そんな……」
「ありがたきお言葉、感謝致します。マクセル様」
「ユ、ユリアヌ様のためですから! ……は、はわわ、こんなにすごい御馳走……だ、大丈夫かな……」
「うふふ、ネクサリーは食いしん坊ねぇ」
「ひぁあ!? もも、申し訳ありませんコスモア様ぁ!」

 Rとテイガート、ネクサリーの三人に、マクセルは朗らかな笑顔を向けている。その隣で愛娘の髪を撫でるコスモアも、慈愛に満ちた眼差しを彼らに送っていた。

(嘘だろ……)

 そんなイリアルダ家の当主である彼らを、Rはなんとも言えない表情で一瞥する。

 ――マクセルを演じさせられている、冬馬海太郎先生は。同じくコスモアとして「キャスティング」されている春野睦都実先生と、この世界で夫婦になっているのだ。
 仲睦まじく見つめ合う二人に、現実(リアル)の彼らをよく知るRは、微妙な面持ちで俯くより他なかった。

(……祈るしかない。誰の記憶にも、この世界が残らないことを)

 もし、無事にこのゲームをクリアして現実世界に生還(ログアウト)できたとしても。彼ら二人がこの時の記憶を持っていようものなら、間違いなく大変なことになる。その先に待ち受ける展開など、想像もつかない。したくない。
 ゆえにRは、内心で祈るのだった。彼らがこの世界の記憶を持つことなく、悪い夢から醒めてくれることを。

「ほんと……ヒカル君、だったかな。君の剣術、物凄かったよね! よかったらさ、今度アタシと手合わせしてみない?」
「これユリアヌ。昨日まで誘拐されていた娘が、そんなことを言うものではない。そもそもお前は、貴族の子女としての自覚がなさ過ぎる!」
「い、いざとなったら自分でなんとかする気だったもん! ……でも、助けてくれて、ありがと」

 一方。ユリアヌは攫われてからも気丈さを失っておらず、事件から夜が明けたばかりだというのに、非常に元気だ。その上、Rに手合わせまで申し込もうとしている。
 ――が、助けられた恩があることは自覚しているようであり。照れ臭そうにしながらも、Rに謝礼と笑顔を送っていた。

(……やっ
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