役割
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『5番ショート絢瀬さん』
右打席に入った絵里がバットを構える。外野は女子野球では深めのポジショニング。内野も定位置より若干後ろに下がっている。
（この位置ならセーフティもありかしら？）
3人で前の守備を終えたこともあり先頭打者を何としても塁に出したい。それを踏まえて彼女は初球セーフティバントを試みることにした。
ｺｯ
速球主体の投手であるためバントを行うことはそう難しくない。三塁線ギリギリに打球を転がした彼女はサードが捌いたボールが一塁に到達するよりも早く駆け抜けた。
「やったぁ！！絵里ちゃんナイスバント！！」
「希ちゃん！！続いて！！」
続く希も野手の位置を確認してから打席に入る。剛は2人にあるサインを送った。
（点差は2点だが、ここから下位に向かっていく打順。送るよりも打ちに来る方が確率が高いだろう）
初球はカーブでタイミングをずらそうと考えた英玲奈。しかし、その判断が裏目に出た。
「「「走った！！」」」
一塁走者の絵里が果敢に盗塁。投手はフォームが大きい上に投球はカーブ。英玲奈は捕ってすぐにセカンドに放るがそれよりも早く絵里は盗塁を決めていた。
（そうか。下位に向かうならスチールは十分に考えられたじゃないか。なぜ無警戒にしてしまったんだ）
自分の未熟さを反省しつつ次の配球を考える。カウントは1ストライク。ならばここから一気に追い込むべきだと彼女は考えた。
（内角にストレート。入れてくれよ）
カーブからのストレートの緩急。これに希はついていけず2ストライク。追い込まれてしまった。
（さて、次は一球外して最後に外に逃げるスライダーで終わりだ）
中腰で構える英玲奈。3球目は高めに外して1ボール2ストライク。彼女は当初の予定通りストライクからボールに逃げていくスライダーを要求する。
ｻｯｻｯ
パパッとサインを出した剛。希はそれを見てから構え直すと次なる1球を待つ。
ﾋﾞｭｯ ﾊﾟｼｯ
「ボール」
（なっ！？見送った！？）
絶妙なコースへと来たスライダー。それなのに希はピクリともせず見逃してボール。これで平行カウントになってしまう。
（見えていたのか？だが2球続けるとは思わないだろう）
再度同じサインで三振を奪いにいくバッテリー。しかし、その投球は指示したものとは逆球。それも肩口から入ってくるボールになってしまった。
ｶｷｰﾝｯ
絶好球に食い付く打者。打球は前めのレフトの頭上を越えていくタイムリーツーベースになる。
（あのコースじゃあこうなってしまうな。だがここからは下位打線。長打はない）
チームで1番小柄な体躯の少女が打席に入ったことで外野手を前へと寄せる。これでは外野前ヒットでホームまで帰
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除