役割
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るのは至難の業だ。
（ランナーが希じゃなかったらな）
ランナーを見つつ投球に入ろうとした投手。その彼女が足を上げるよりも早く二走の希が走り出した。
「うわっ！！速い！！」
「違う！！もうピッチャーは止まれないわ！！」
モーションに入っていなくても動き出そうとしたところから違う動作をするのは不可能に近い。希が走ったのは見えていたのに、投手は止まることができずそのまま投球をした。
（（甘い！！））
さらに慌ててしまったことで棒球が真ん中付近へと向かっていく。にこはそれをライト方向に転がすと、一塁のあんじゅが飛び付き止める。彼女はベースカバーの投手に投げようとしたが・・・
「あんじゅ！！投げるな！！」
捕手の英玲奈がそれを制した。その理由はスタートを切っていた希が三塁上でホーム投入を行う体勢に入っていたため。もし一塁に投げていたらタイミングも微妙だった上にランナーを生還させてしまうところだった。
（いい判断だけど、これでノーアウト一、三塁だぜ。どうする、西村）
1点差でなおもチャンス。ここで打席に立つのは8番の花陽。
「タイム！！」
UTXのベンチから選手が飛び出してくる。彼女に集められた選手たちはマウンド上で輪となりベンチからの指示を聞く。
（俺なら大量点を避けるために中間守備だな。希を返してでもゲッツーを取って流れを切りたいところだが・・・）
輪が解けると野手はそれぞれのポジションに散っていく。その位置はバックホーム体勢の前進守備。
（あえて前進守備か。となるとここは・・・）
「花陽」
「はい？」
打席に向かおうとした彼女に声をかける剛。彼女は監督の言葉に耳を傾けうなずくと走って打席へと向かっていく。
（小泉さんは打力は高くない。ゴロを打たせて三走を返さずゲッツーを取りたい）
となれば投球はもちろん低め。初球は内角へのストレートを要求しストライク。続く2球目はこれまた内角だがボール。
（外角にストレート。力で押し切れ）
躍動感のある投球モーションから投じた3球目。それは外角ギリギリに決まったが、花陽のバットは快音を放った。
「なっ・・・」
カカトを小さく上げたところから降ろしただけで打ちにいくノーステップ打法。さらにはそれを流し打ちに徹したことにより打球は外野を深々と破りフェンスまで到達する。
「バックホーム！！」
三走の希が悠々還り同点。さらにはにこが激走しホームを狙う。
「こっちよ！！早く！！」
ライトからセカンド、さらにはファーストのあんじゅがカットマンに入りホームに送球。二枚看板を背負っていることもあり肩はいい。送球も逸れることなく英玲奈が捕球しタッチに行く。
だが、近年採用されたコディシ
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