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東方夢想録
3.始まる異変

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「ついに抜いたわね─────風刃!」
 ああ、確かに風刃を抜いた。
 だが、これはあくまで抜かされたのだ。夢想封印すらも使っていない霊夢に。
 紫さんはいつも霊夢のサボリを愚痴ってたけど、これだけ強ければそりゃ怠けるわ。俺が予想していた霊夢の三倍は強い。まさか俺の予想がはずれるとはな。
「余所見なんてしてていいのかしら!霊符『夢想封印・散』!」
「まだまだ。風刃『空牙・周』」
 俺へと目掛けて放ってくる夢想封印を俺は周囲に風刃を張り巡らせることにより迎撃する。そして距離を詰め、刃で斬りつける。霊夢にそれを霊力で強化したお祓い棒で防がれる。
 俺の突進の勢いを使い霊夢は後ろへ跳んだ。
「何が起きてるんだぜ………。それに、迅のその刀……」
「風刃────この世に二振りとしてないといわれる、よくある妖刀よ。表面上はね」
「表面上?」
「使われた素材は不明。制作者も不明。極めつけに作られた時期も不明。夢魔の一族、迅の家に伝わる風刃」
 よく調べたなー。何でそんなに知ってんの?俺?俺の場合はいろいろと特殊だから。 
「風の記憶を内包しているその刀はあらゆる物体に風を伝播させる」
 何?博麗の巫女ってそんなことまで知れるの?何か権限高くない?
「やけに調べたじゃん」
「あんたを倒すためにね。さて、続きと行きましょうか。使ったら?『星の記憶を見る程度の能力』」
「お前、それも知ってるの?望み通り、使ってやるよ」
 『星の記憶を見る程度の能力』。俺の能力の一つだ。
 簡単に言うと『地球(ほし)の本棚』だ。
 これを使って俺はあらゆる知識を子供の頃から詰め込んでいた。そしたら今まで見えてこなかったものも見えるようになってきまして。端的に推理力がバカ上がりました。もう未来視のレベル。まあ、推理できるんだけど。しかも、推理を本棚で裏付けできるというね。まあ、あまり趣味じゃないんだけどそうも言ってられないみたいだし、さて、どうやって有耶無耶にできるかを探るか。
 ……………これは!
「待て!霊夢、こんなことをやってる場合じゃなくなりそうだ!」
「どういうことなんだぜ?」
 魔理沙の質問を受け、霊夢からも疑わしい視線を受けるが、それは確信へと変わった。
「二人とも異変だ」
 空の色が紅く染まっていた。
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