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とある3年4組の卑怯者
11 学級文庫係
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 リリィは教室の黒板の前にある本棚を眺めていた。そこにまる子とたまえが入ってきた。
「リリィ、何してるの?」
 まる子が聞いた。
「この本棚に色んな本があると思って」
「ああ、それ学級文庫だよ」
「ガッキューブンコ?」
「クラスのみんなが読んでもらいたいと思う本を家から持ってきてこの本棚に置くんだよ。誰でも自由に読んでいいし、もちろん借りることもできるよ」
 たまえが詳しく説明した。
「借りるってことは家に持ち帰ってもいいの?」
「うん、学級文庫係に頼めばできるよ。永沢と藤木が係だから二人のどっちかにお願いすれば借りられるよ」
 たまえの説明にリリィは理解できたようだった。そのとき、まる子があることを思いついた。
「そうだ、リリィも是非みんなに読んでもらいたい本があったら持ってきてよ!」
「そうね、そうしようかな」

 昼休み、リリィは藤木と永沢に話しかけた。
「永沢君、藤木君、私も学級文庫の本を借りたいんだけど、いいかしら?」
「ああ、もちろんさ、一週間後には返してくれよ」
 永沢が応答した。
「ありがとう、この本を借りるわ」
 それは藤木が持ってきたとされる(実際には永沢が持ってきてあたかも藤木が愛読していたと見せかけたものであり、後にウソが皆にバレたが)「走れメロス」だった。
 藤木は焦った。また内容の説明を要求されたらどうしよう、と。
「あ、リリィ、君も是非読んでもらいたい本があったら持ってきてくれよ」
 永沢がリリィにそう告げた。
「そうね、昔読んでいたのは英語の本が多いからみんなには読めないし、日本語の本はあっても日本語の勉強に使った教科書ばかりでつまんないと思うし・・・、そうだ、私も自分で本を買って読んでみたいな。そしたら持ってこれるしね。学校終わったら一緒に本屋さんへ行って手伝ってくれるかな?」
 そのとき、藤木は心の中で嬉しくなった。
(リリィが僕を頼ってくれてる・・・!!)
「うん、いいよ!放課後、本屋さんに行こう!」
 藤木は喜んで承諾した。
「リリィは本屋さんの場所はわかるのかい?」
 永沢が聞いた。
「うーん、案内してくれるかな?」
「分かったよ。僕が案内してやるよ」
 永沢が提案した。藤木は永沢にリリィを奪われるのではないかと不安を感じて永沢にこの事を聞いてみた。
「で、でも永沢君、リリィの家どこかわかるのかい?」
 いつもは藤木を見下す永沢もさすがにこの質問には答えられず、焦った。藤木の方は招待されたことがあるのでリリィの家の場所は分かっていた。
「わ、分かった。藤木君、案内してくれよ」
「うん」
こうして三人は約束を決めた。

 放課後、藤木は家に帰るとランドセルを置いて永沢の家へ向かい、永沢を呼んだ。そして、二人でリリィの家へ向かった。
 リ
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