暁 〜小説投稿サイト〜
Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv51 そして地上へ……
[1/11]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
   [T]


【最初の一文はこう書かれている……我が名はバスティアン。ここに我が遺言を書き記す。いつの日か、ここを訪れる者に、イシュマリアの真実を伝える為に……と……】

 アヴェル王子の言葉を聞いた直後、ラッセルさん達やバルジさん達が驚きの声を上げた。
「なッ!?」
「バスティアンだってッ!?」
「嘘……」
「ほ、本当なの?」
「じゃあ、この遺体は、あの大盗賊バスティアンだというのか……」
「てことは、ここが大盗賊の隠れ家ってこと!?」
 バスティアンという言葉を聞いて、皆がざわついていた。
 この辺りで有名な大盗賊と同じ名前だから、こうなるのも無理ないだろう。
 アヴェル王子は頭を振る。
「いや、大盗賊で有名なバスティアンかどうかはわからない。同名の別人ということもある。とりあえず……次を読んでみよう」
 少し間を置いて、アヴェル王子は朗読を再開した。

【……訪問者の為に、まずは自己紹介として私の事を記すとしよう。先程も記したが、名はバスティアン。イシュマリア歴1974年のオヴェリウスにて生まれたが、孤児の為、両親はいない。そして、元はイシュラナ大神殿の神官であった者だ。官位は神殿書記官。だが、わけあって、イシュラナの神官職から離れる事になった。その理由こそが、この遺言を記す最大の目的である。
 これを見た者の時代が、どうなっているのかはわからない。もしかすると、遺言の内容は解消されているかもしれない。
 しかし、解消されていようがいまいが、どうか、最後まで読んでもらいたい。……それでは始めよう。
 その日の事は忘れもしない……そう、イシュマリア歴1996年・アレスの月に入って5日目の事だ。
 この日は年に一度の光誕祭を翌日に控える忙しい日であった。
 光誕祭は、イシュマリア王家と太守である八支族や八名の大神官に加え、各地の神官長等が揃うという日でもある。その為、前日は、神官達が1年で最も慌ただしくなる日でもあった。
 私も例外ではなかった。当時、神殿書記官であった私は、大神官の身の回りをお世話する役を仰せつかっており、朝から光誕祭の準備に追われていた。
 だが、その日の夜……私は世にも恐ろしいモノを目の当たりにする事となったのである。

 光誕祭の準備も粗方終えた頃、外は闇が覆う時間となっていた。外に出ると月が美しく輝く夜の為、薄明りを灯したような星空であった。
 もう既に就寝の時間も過ぎていたので、私は神官宿舎に戻り、寝床に着いた。
 だが、その日はなぜか寝付けなかった。何かを忘れているような気がしたからだ。
 その為、床に着いてからも、私はその事ばかりを考えていた。そして暫くすると、私はある事をやり忘れていたのを思い出したのである。
 私は起き上がると、職務に使う書記道具一式を抱え
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ