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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv4  商業都市マルディラント
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谷は抜けたけど、このまま道なりに行けば、マルディラントなんかな)
 ふとそんな事を考えていると、ヴァロムさんの声が聞こえてきた。
「コータローよ。見えてきたぞ。あれがマルディラントじゃ」
 俺は前方に視線を向ける。
 すると、蜃気楼のように見えるぼやけた街の姿が、前方に小さく見えてきたのであった。 
 あの位置を考えると、どうやら、ベルナ峡谷から少し離れた所に、マルディラントという街があるようだ。
「やっとですね。かなり長かったので、何もしてないのに疲れてしまいましたよ」
「カッカッカッ、まぁそうじゃろうな。荷台はかなり揺れるからの。とりあえず、後もう少しじゃ。我慢せい。ソレッ」
 意気揚々とヴァロムさんは手綱を振るう。
 そして、馬車はマルディラントへと、足を速めたのであった。


   [U]


 イシュマリア国南部のマール地方。その中央に位置する商業都市マルディラントは、文字通り、このマール地方の経済の要となる街のようである。
 街に向かうにつれ、街道には、沢山の荷物を積み込んだ荷馬車や普通の馬車、そして、徒歩や馬で行き交う旅人達の姿も確認できるようになってきた。
 また、それらの行き交う人々の服装を見ていると、ドラクエでは定番である布の服や旅人の服のような物を着ている者や、重厚な金属製の鎧や鎖帷子を装備した者、そして、俺達のようにローブを着た者等、それこそ多種多様であった。
 しかも、その上、様々な人種が行き交っているのだ。それらの中には、俺の様な日本人に近い顔つきの者もいた。
 その為、色んな用事を持った人々が、ここを行き交っているというのが、これを見ているだけでよく分かる。
 そして、これら光景は、マルディラントで人と物と金が大きく動いているという事の証でもあるのだ。
 まさに商業都市といったところだ。が、しかし……俺はそれらの光景を眺めている内に、心の片隅に残っていた僅かな希望が消えてしまったのであった。
 やはり自分はまだどこかで、異世界にいると認めていなかったのだろう。
 俺が今まで見てきた光景は、全部作り物で、俺を騙す為に誰かが仕組んだ事なんだ……そう思っていた部分がごく僅かにあったのである。
 しかし、この多くの行き交う人々を見て、ここは現代日本とは違うのだなと、俺は今になってようやく確信したのであった。
(……今まで見てきた景色もだけど、ここにいる人々はどう見ても日本人じゃないなぁ……やっぱここは異世界だわ。知った光景や、知り合いがいない世界か……これ以上ないくらいに、ボッチを極めてるやんか、俺……)
 感傷に浸りながらも、馬車はマルディラントへと進み続ける。
 近づくにつれて、マルディラントの街並みが段々とハッキリしてきた。
 流石にゲームと違って、街の建造物の多さは桁外れで
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