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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十七話 少女たちの決意 前編
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なんて考えは一切ない。

 その重みを知ってるからこそ。

 その痛みを知ってるからこそ。

 彼は誰にも、その苦しみを感じて欲しくないのだろう。

 そしてその優しさに、自分たちは救われていると言うことを柚那は知ってる。

 だって彼は、今もなお、誰かを苦しみの中から救い出そうとしてる。

 自分の背負うものを降ろすこともせず、抱えたまま、誰かを救うつもりだ。

(でも……)

 それでも、そんな優しさを知ったとしても、柚那は思わずにはいられない。

(先輩の背負ってるものが、少しでも軽くなってくれたら。 それが、私にできるようなればいいな)

 小さな願いを、祈りを、そして――――誓いを静かにたてた。
 
 そんな誓いを消し去るような出来事が起こったのは、それからすぐだった。

「そう言えば君は元の姿にはならないのか?」

 クロノが声をかけたのがフェレットの姿でなのはの肩に乗るユーノ。

 ユーノは忘れてたと言わんばかりに驚き、なのはの肩から降りて皆から少し距離を取る。

「地球に来てからずっとこの姿だったから忘れてたよ」

「ユーノ君、何かあるの?」

 なのはが不思議そうに首をかしげると、ユーノは目を閉じて意識を集中させる。

 すると彼の全身は薄い黄緑色の魔力光に包まれ、その光は徐々に大きくなっていく。

 一瞬のうちにクロノに近い大きさと体格の人影を作り出し、光が消えると中から一人の少年が姿を現した。

 金の短い髪に、緑の瞳をした優しい顔つきの少年。

「ふぅ。 この姿が普通なのに、なんだか久しぶりだな……って、どうしたの?」

 ふと周りを見ると一名、腰を抜かして驚いている少女が――――高町 なのはがいた。

 逢沢姉妹も目を見開く程度の驚きはしたようだが、すぐに納得して平静に戻る。

「ゆ、ゆゆ、ユーノ君って、フェレットじゃなかったの!?」

 むしろなのはの反応に対して逢沢姉妹が驚いたくらいだ。

「知らなかったの?」

 雪鳴の問いに首を何度も縦に振ってなのはは答えた。

「あ、あれ? 初めて会った時は……あっ!?」

「ずっとフェレットだったんですね」

 ユーノの反応に柚那も合点がいったとため息を吐いた。

 ずっと一緒にいる相手ほど知らないことが多い。

 灯台下暗し、と言うことわざが周りの脳裏に過ぎった一幕を終え、彼女たちは艦長室へ到着した。


*****


 艦長室に入ると、クロノ以外の全員が呆気にとられる光景が広がっていた。

 中にはなぜか茶道のセットが揃えられており、畳やらお茶やら竹に流れる水やらと揃えられていた。

 それが和をイメージするような木造の建物にあったのな
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