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風魔の小次郎 風魔血風録
42部分:第四話 白い羽根の男その十一
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第四話 白い羽根の男その十一

「貴様が手裏剣等を得意にしているとは聞いていたがな。遊戯まで得意だったとは」
「遊戯か」
「それ以外の何だというのだ?」
 笑みが侮蔑するものになっていた。
「これが貴様の舞か。こんなものは」
 その白い羽根を木刀で払い落とした。
「こうしてくれるわ。むっ!?」
 払い落とした筈の羽根が二つになっていた。そしてさらに増えていく。
「羽根が増えていく。幻術か」
「おっと、動くなよ」
 ここで項羽が彼に告げる。
「何だと!?」
「動けば貴様の身体はズタズタになるぞ」
「馬鹿な・・・・・・むっ!?」
 白虎が項羽のその言葉を否定しようとしたその時だった。
「うわっ!」
 白虎の右頬が切り裂かれた。続いてその左手の甲も。
「な、何だこれは。貴様羽根に何か仕込んでいるな!」
「これが項羽最大の奥義風魔白羽陣」
「白羽陣だと!?まさか」
「名前だけは聞いたことがあるようだな」
 項羽はその白い羽根の中にいて笑っている。その間にも白虎は切り裂かれていく。
「この技の名は」
「馬鹿な、貴様はその使い手だったのか」
「そうだ。この技は風魔の者以外は誰も見て生きたものはいない」
「まさかここで見るとは」
「それは白虎、貴様がここで死ぬということだ」
「くっ、俺も八将軍の白虎」
 しかし白虎もこれで終わるつもりはなかった。
「このまま・・・・・・やられはせんぞ」
「安心しろ、今すぐ止めをさしてやる」
 項羽はその左手に青い大きな羽根を出してきた。今舞っている白い羽よりも遥かに大きい。
「この青い羽根でな。受けろ!」
「うっ!」
「白い羽根が舞うのに対して青い羽根は一直線に飛ぶ」
 項羽はそう述べる。
「これで貴様を倒す。死ね!」
「くっ!」
 青い羽根が放たれた。それは項羽の言葉通り一直線に飛ぶ。しかしそれが当たる直前に白虎は姿を消した。得意の姿を消す術だった。
「そうか。姿を消したか」
「このままやられるわけにはいかん」 
 白虎の言葉だけが聞こえる。
「何としても貴様を倒す」
「そうか。なら受けて立とう」
 だがそれを聞いても項羽は臆するところはない。平然と立っている。
「何故ならこの白羽陣は」
 その間に白い羽根が彼の周りに降り立つ。そして地面に白い羽根の陣を作るのだった。それは項羽を中心として蜘蛛の巣になっていた。
「まさに攻防一体の陣だからだ。白虎、貴様にこれが破れるか」
「破ってみせる」
 姿を消したままの白虎が答える。
「何としても」  
 彼は気配を消していた。しかし。陣の端にあった白い羽根が微かに動いたのだった。
「そこか!」
「くっ!」
 すぐに青い羽根が放たれる。白虎は慌てて姿をまた消す。これでまた最初に戻った。
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