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風魔の小次郎 風魔血風録
42部分:第四話 白い羽根の男その十一
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 白羽陣もまた戻っていた。再び睨み合いが続く。しかしここでまた。
「今度はそこか!」
 また青い羽根を投げる。今度は左だった。だがそれは。
 移し身だった。木がそこにあるだけだった。青い羽根が空しくそこに突き刺さっているだけだった。
「しまった、移し身か」
「その通りだ」
 ここで後ろから声がした。
「何・・・・・・くっ!」
「ぬかったな項羽」
 項羽がその背中に強い衝撃を感じたその時に後ろから白虎が姿を現わした。彼は移し身を仕掛けた上で項羽の背中に回り込んでいたのだ。
「この程度は忍の初歩の初歩。それが見抜けぬとは貴様も油断したな」
「くっ、しまった・・・・・・」
 右膝をつく。その間に白虎はさらに身構える。そのうえでまた攻撃に入る。
 しかしその白虎に対して項羽は左手から青い羽根を数枚放った、だがそれはあえなくかわされてしまった。白虎の自信に満ちた笑みが見えた。
「残念だったな。この白虎も一度見たものは見切れる」
「そうか。一度か」
「そうだ。わかれば死ね」
 剣を振り被った。
「一太刀で倒してやる。この白虎をここまで追い詰めたはじめての男としてな!」
「それができればな」
「何っ・・・・・・うぐっ!」
 その時だった。今度は白い虎の右肩に鋭い衝撃が走ったのだった。
「な・・・・・・これは」
 右肩を見る。そこにあったのは。
「赤い羽根・・・・・・」
「死ぬ前に一つ教えておこう」
 項羽は倒れ伏していく白虎に対して告げる。今度はその左手に赤い羽根を持っている。
「青羽根は一直線に飛ぶが赤羽根は弧を描いて飛ぶ。こうした時の為にな」
「しまった・・・・・・」
「まさかこの俺が背中を取られるとは思っていなかった」
 今度は項羽の言葉だった。
「だがそれも終わりだ。止めだ」
 左手から羽根を放とうとする。しかし。その時だった。
「むっ!?」
 今まさに放とうとしたその羽根が突如として燃え上がった。紫の炎と化し消えてしまった。
「紫の炎だと」
「そうだ」
 ここで何者かが姿を現わした。紫の鬼火達を周囲に漂わせその左手にジッポーライターを持っている。その男が姿を現わしたのだ。
「項羽よ、このまま白虎をやらせるわけにはいかん」
「紫炎か」
「如何にも」
 紫炎は項羽の言葉に答えた。
「夜叉八将軍紫炎。まずは名乗っておこう」
「今度は貴様が相手か」
「今回は二対二の勝負」
 紫炎は言う。
「ルール違反ではない筈だが」
「確かにな。では貴様が白虎の代わりに闘うというのだな」
「白虎を倒させるつもりはない。同志はな」
「同志か」
「一つ言っておこう。我等夜叉一族の結束は御前達風魔にも勝る」  
 項羽を見据えての言葉だった。
「仲間の危機には何があろうとも馳せ参じる。
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