二話 隻腕の騎士と剣聖
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り得ないとエミリアは言っていた。
パックの場合は例外、他の精霊の契約内容は精霊様々で精霊よっては簡単であったり難しかったりするらしい。
「ホントにその宝石の中で眠ってるのか?」
とても高価そうな宝石。魔力の流れは感じられない。いや、感じられなかった。
この世界でも異能は存在すると解ったが、もしかしたらこの世界の異能『魔法』は魔術とは別の方法で発動するものなのかも知れない。
「眠ってるよ、気持ちよさそうに。
これだと当分は起きなさそう」
「ふぅーん、まるでドラえもんの四次元ポケットだな」
「ど、ドラエモン?」
「こっちの話だから気にしないでいいよ。
それより、問題はこの先ですよ。
あのオッサンの視線が痛くて死んで死んでしまいそうなんですが」
先ほどより突き刺さる視線に目を背け、小声で言うと。
「言われて見ると、シロウを恐い目で見てるかも」
「でしょ、」
「なら、尚更だよ」
「はい?」
「シロウは悪い人じゃないって言ってきてあげるわ」
「ちょ、え?
なんでそうなるの?」
「どうして?士郎は困ってるんでしょ?」
「確かに困ってるけど、これは些細な困り事なんだ。例えるなら朝ごはんを作る最中、今日は米にするかパンにするか悩んで気付けば時間は午前6時半」
「ごめん、何を言ってるか解らない」
「つまり、俺は困ってるけどそんなに困ってないって事だよ」
「結局はどっちなの?」
「フィフーティーフィフティーですかね……」
「相変わらず、何を言ってるのかは解らないけど中間って意味は伝わってきた」
「そうですね、その中間地点ですかね」
「やっぱり困ってるじゃない」
なんて笑顔で俺の手を取るエミリア。
────やっぱり、変だ。
なんでこの娘は俺を助けようとするんだろう。単純におっせかいさんだからか?
会って一時間くらいしか経っていない奴になんでこんなに親切なのか……士郎には分からなかった。
何故、エミリアは俺を助けてくれるんだ?
「……っ、わ、解った」
そして俺は何故、その助けを断らない……断れなかったんだ。
「一応、言っておくけど俺無一文だからな。道案内とか色々してくれたけど大した礼は出来ないから」
そして、この少女もなんで。
────笑顔でうんって頷くんだよ。
「ふふ、大した礼って事は。
何かはしてくれるんだ」
「それは……まぁ、人としてだ」
「ふぅーん、人としてねぇ」
なんて怪しけな笑を浮かべるエミリア。
「な、なんだよ」
「なんでもない、ふふ」
やっぱり、この娘は変だ。
こんなお人好しな女の子なんてそうそういないぞ。俺の手を掴み、先導するその姿は無邪気な少女のもので見たより幼く見させている
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