暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第3章:再会、繋がる絆
第92話「優しさの報酬」
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掛けるが、返事は返ってこない。
 当然だ。強制スリープモードになり、待機形態の十字架は罅が入っているのだから。

〈私の見た所、コアの損傷によるデータ破損はありません。〉

「そうか...っつ....。」

 痛みを我慢しながらも、人間でいう所の後遺症がない事に安心する。

「緋雪に悪いな...。」

〈緋雪様なら、きっと許してくれますよ。〉

 ...そうであれば...いいな。
 まぁ、あいつの事だ。むしろ、使ってでも助けるように言いそうだな。

「とりあえず、アースラ内に戻ろう。皆、魔法陣に乗ってくれ。」

 それぞれが手を取って喜び合ったりする中、クロノがそういう。
 一つの次元世界と化していたとはいえ、本来ここは次元の狭間のような場所。
 いつまでも生身で外に居られないからな。

「ゆ、優輝君、その手...大丈夫なの?」

「ん?...あー、しばらくは使い物にならないかな...。普通に焼け爛れたのと違って、神の力を生身で使った代償だから、治すのにも手間がかかるし。」

 (聖司)に心配され、状態を軽く説明する。
 ...まぁ、実際はこれ以外にも魔力が枯渇してるんだけどね。

「それよりも、僕らも乗るぞ。」

「あ、うん...。」

 僕らもクロノが用意した転移の魔法陣に乗る。
 そして、転移しようと魔法陣が輝いた瞬間....。

「....ぁ......。」

「っ、おい?どうした...?おい!?」

 力が抜けるように、(聖司)が僕の方に倒れ込んでくる。
 同時に、彼女の周りに浮かんでいたジュエルシードも輝きを失って落ちる。





   ―――....それはまるで、糸が切れた人形のようだった...。











「おい...!しっかりしろ...!おい!!」

 転移が終わり、僕は倒れ込んだ(聖司)に必死に声を掛ける。
 そんな様子に、喜んでいた皆も気づいて駆け寄ってくる。

「クロノ!医務室の手配を!」

「分かった!」

「椿、葵!霊力で応急処置はできるか?」

「分からないわ!まず、容態を確認しないと...!」

 クロノに医務室への手配を頼み、僕が運びつつ椿に容態を診てもらう。
 ...だが、触れただけでわかる。これは、途轍もなく危険な状態だと。

「(触れただけで確認できるのは...明らかな、身体の衰弱。しかも、現在進行形だ。まるで、ダムが決壊したかのような速度で...。)」

 そこまで瞬時に判断した所で、床に落ちているジュエルシードが目に入る。
 葵に目配せをして、拾ってもらう。

「...輝きを失ってる...。まるで、力を使い果たしたような...。」

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