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自然地理ドラゴン
序章 二人の出会い - 森の町チェスター -
第5話 ドラゴンの血
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わからないまま、ただ普通に冒険者生活をして転々としているだけというような感じ。
 旅で色々なところを見るのは楽しいから、不満はないけど。



―――



「なるほど〜、そうだったんだ」

 ティアはテーブルに肘をつきながら、トローンとした目で、しかし同時に興味深々な様子で、話を聞いていた。
 そして「説明ごくろう〜」と、右手でシドウの頭をぐしゃぐしゃと掻き回した。

「ペザルの近くの山にドラゴンが一匹だけ生き残っているという噂は、いちおうこのダラム王国にも伝わっているみたいだね」
「うん。噂はわたしも聞いたことはあったよ」

 大陸最南端のペザルの町が所属する国は『エレシエル侯国』。
 このチェスターの町が所属する『ダラム王国』の南に位置している。

 ダラム王国から見れば、エレシエル侯国自体がやや田舎のイメージであり、そのまた最南端の町ともなるとど田舎≠ニなってしまう。
 だが、ドラゴンがいるというインパクトは相当なものである。
 冒険者や吟遊詩人などの口を介して、国を越えて噂が少し伝わっていた。

「でも、そのドラゴンにハーフの子供がいて冒険者をやってるなんてね〜。今までそんな人見たことないし、新鮮!」
「同じような人がいたら俺も驚いてしまうよ」
「ていうか、ドラゴンと人間の子なんてどうやって産むの。ぜんっぜん想像できないんだけど?」

「うん。母さんは純血のドラゴンなんだけど、魔法で少しの時間、人型のモンスターに化けることができるんだ。その時に父さんと……したらしい」
「え〜、何それ。本当なの?」
「本当だと思うよ。父さん、嘘が嫌いだったし」
「へえ〜面白いなあ」

 ティアはクスリと笑った。

「あ〜そうだ。今まで回った町の人たちは、シドウの正体を知ってるの?」
「いや、知らないはず。誰かがいるところで変身したことはないし。ペザルの町でも、ドラゴンに子供がいるという話は知っていても、そのうち一人が人間の姿で冒険者をしているということまでは、基本的に知らないんじゃないかな」

「秘密なんだ?」
「別に秘密にしろって家族に言われているわけではないけど。でもバラしたときの反応が読めなかったから」
「じゃあわたし、結構貴重なものを見たんだ!」
「なんで嬉しそうなのかは知らないけど、一応まだ誰にも話さないでもらえると助かる」

 だいぶ酒がまわっているのか、ティアは「は〜い」と気の抜けた返事をする。

「まだ聞きたいことはあるな〜」
「もう喋り疲れたよ」
「あっそ〜。じゃあ今後の仕事の途中にでも少しずつ聞いていくよ。一気に聞くとこっちも疲れそうだし――」

「えっ!」

 酒に伸ばそうとしていたシドウの手が、止まった。
 そして目を丸くして、ティアのほ
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