第3章:再会、繋がる絆
閑話8「闇の書・後」
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=司side=
「.....ん....。」
目を、覚ます。深い微睡から目覚めたように、眠気を伴いながら。
「ここ...は....?」
直前の記憶があやふやだ。ついさっきまで何をしていたか少し思い出せない。
「...確か....闇の書と...。」
そう。私は皆と一緒に闇の書と戦っていたはず。なら、これは...。
「っ.....!」
....そこで、ついさっきまでの出来事を思い出した。
「そう、だ...!私っ...!」
私は、闇の書に吸収された。
なら、今私が見ているこの光景は夢か幻覚辺りだろう。
「早く何とかしないと、また...!また...!」
―――皆に、迷惑が掛かってしまう...!
「....司?起きているの?」
「.....え....?」
...思考が、一瞬停止した。
扉越しに聞こえてきたその声の主が、あまりにも信じられない存在だったからだ。
「起きているのなら、早く下りてらっしゃい。朝食はもうできてるわよ。」
「.....お母...さん.....?」
誰にも聞こえない程、か細く私は呟いた。
...そう。その声の主はお母さんだ。...ただし、前世の。
「(なんで....?)」
理解ができなかった。...いや、私が無意識に理解するのを避けていた。
ありえない...というより、辻褄が合わないからだ。
...それに、何よりもお母さんが私なんかにあんな優しく声をかける訳がない。
「一体...どうなって....。」
体は司のまま。だけど、状況は前世の聖司の状態。
よく見れば、今私がいる部屋は入院前の私の部屋にそっくりだった。
「司?起きているのなら早く....。」
「っ.....!」
部屋の中の物音で私が起きていると判断したのか、お母さんが入ってくる。
...その瞬間、私の体が震えあがった。
「っ...ぁ....!?」
「司!?ど、どうしたの!?」
震えが治まらない。お母さんを見るだけで叫びたい程の感情の昂りを覚える。
...そう、これは恐怖だ。...私は、お母さんに恐怖している。
「ぁ....ぁ....。」
「司!司!大丈夫!?しっかりしなさい!」
これは夢だと、頭でわかっていても体の震えは一向に治まらない。
...それだけ、私にとってお母さんが恐怖の象徴となっているのだろう。
「.........。」
そのまま、力が抜けるように私は意識を失ってしまった。
「.......。」
..
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