暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
折れ曲がりストレート
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は馴染めそうか?」
「私は仕事が欲しいだけよ、馴染む気なんて最初からないわ」

四歳の少女が吐き出すには不釣り合いな一言に、マカロフは「そうか」とだけ返した。
大まかな分け方をしてしまえば、ティアはこの老人が嫌いではない。好めるとさえ思えるくらいだ。こうやって時々妙な気を回しては来るものの、一人でいるのを咎めたりはしない。時折、ふと思い出したようにこちらに問うて、いつも通りの答えにいつも通りの返事をする、それだけだ。
メンバーに混じって馬鹿騒ぎしたり、雑誌を片手にやれ胸がどうだ尻がどうだと呆れた会話をしている事もあるが、こちらの行動に言葉を挟まず、それでいて目を向けてくれている。ティアが不快だと思わない程度の近さに立って、そっと輪の中に含めてくれる。それがティアには少し鬱陶しくもあり、少しくすぐったくもあった。

「同世代が少ないのはやり難いか?」
「むしろ楽ね、年食ってる奴の方があれこれ聞いてこないし。この年で兄弟そろってギルドにいても、まあ何かあっての事だろうって察するでしょう」
「まあ、そうじゃな。……聞かない方がよいか」
「別に。聞かれれば話すけど、聞いたところでそっちの気分が悪くなるだけよ。自ら進んで不快な思いをしたい新手の変人なら構わないんでしょうけど」
「ならばワシは聞かんよ、変人ではないつもりじゃからな」
「このギルド束ねてる時点で十分変だと思うけどね」

吐き出す毒も、マカロフは笑って受け止めた。それが決して嫌味から来る言動ではないと知っていたから、ティアも少し視線を投げてまた戻すだけに留めておく。

「ラクサスはどうじゃ、最近よく話しておるじゃろう」
「向こうが一方的に喋ってるだけよ。…ていうか何でアイツ懲りない訳?放っておいてって意味で無視してるのに全く通じてないんだけど」
「仲良くしたいんじゃろうな。既にクロス達は馴染んでいるから、お前もと思っているのじゃろうよ」
「余計なお世話ね、迷惑だわ」

がやがやと騒ぐギルドのカウンター。珍しく人のいないそこで、机の上で胡坐を掻くマカロフはちらりと少女に目をやった。
座るのにも一苦労であろう、床に足の届かない高い椅子。そこに腰かけて、話しているこちらではなくギルドの騒ぎの方を見つめる少女。それはあの中に加わりたいだとか、逆に馬鹿らしいと嘲る意味だとかはなく、この様子を録画するカメラのレンズのような瞳で、ただ無機質に見つめるだけだった。
まだ四歳。だというのに達観した少女。親に甘えたい盛りとは思えない冷静さと、四歳が発するにはあまりにもしっかりとした言葉。初めて会った時はあまりの衝撃に泣きそうにもなったものだ。
だって、普通の家庭で普通に愛情を受けて育っていれば、まだ魔法なんてものに触れるような年ではない。親に甘えて、どこか舌足らずに喋って、些細な
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