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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第70話:人を褒めるときは大きな声で。悪口を言うときには、より大きな声で!
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下等に懇願するって事は、その件で私は弱みを握られた事になる。若くて生意気な上司の弱みを握った部下等は……」

「そ、そんな事……考えてません!!」
「黙れラウル! 先程お前には弁明のチャンスを与えたのに、そのチャンスを自ら捨てたんだ! 今はもう弁明どころか、発言のチャンスも無い! 勝手に喋って国王陛下と宰相閣下の会話を邪魔するな!」

手厳しい言葉を浴びせられ、泣きそうな顔で項垂れるラウル。
リュカ様はその光景を興味深そうに眺めてる。
一体何を考えてらっしゃるのだろうか?

「オジロンはウルフに部下を託す際に、年下で生意気な者の部下になる事の心構えを教えられなかったんだね。ついつい上司だと言う事を忘れて、生意気な口調を制限してやりたくなっちゃうんだ……そういう事なんだろ、みんな?」

リュカ様は我々を見回して、優しい口調で問いかけてくる。
私は思わず“そんな気持ちは微塵もありません”と言おうとしたのだけど、間髪を入れずウルフ閣下が「陛下、元からの部下である3名は、私との接し方を理解してますから、陛下の仰る様な気持ちは無いです。問題なのはオジロン殿の元部下等だけです」と言い、勝手に私ら3人の弁明をしてくれた。

「申し訳なかったウルフ。お前の仕事の邪魔になる様な事になって……」
リュカ様は私ら3人を見て少し笑った後、真面目なお顔に戻してウルフ閣下に頭を下げた。
これは効果絶大だ。オジロン殿の元部下等は、自分達の心得違いの所為で国王陛下に頭を下げさせてしまったと思ってるだろう。

「みんな今回の件で分かったかな? 僕もそうだが君等の上司のウルフも、自分の言動を咎められたからって怒ったりはしない。むしろ感謝するぐらいなんだよ。でもね……苦言を呈するのなら自らの言葉で言って欲しい。『陛下が何というか……』とか『王家の人々に言い付ける』等という言い方は、非常に腹立たしい。唯の密告(ちくり)屋だからね」

そうか……ラウルがウルフ閣下に『無礼な言葉は拙い』と言った時は、少しも怒る事なく自らの正しさを表明した。
だとしても……だとしてもよ、私達の目の前でビアンカ様に向かって暴言を大声で吐き吐けるのは止めてもらいたいわ。

「……さて、用件は以上だよね? もう帰っても良いよね」
はい陛下。もう帰られても宜しいかと私は思います。
もうこれ以上は胃が保ちません。

「あぁ、序手でなんで別件で相談したい事があります」
「えぇぇ……僕も暇じゃ無いんですけどぉ」
そうですよね! リュカ様は大変お忙しい身ですよね!
早く解放しなさいよ馬鹿上司!

「それ以上に俺の方が忙しいんッスよ」
「それもそうか。……んで、何の用?」
ああ……先程まで立って居られたリュカ様が、手近なパイプ椅子を見つけて座ってしまった。
まだまだ
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