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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
神聖剣VS神速
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の顔にちらりと感情らしきものが走った。焦りを感じてるのか、敵の
奏
(
かな
)
でるテンポがわずかに遅れる気配を感じた。
チャンス到来!
その刹那、俺は防御を捨て去り、右手に握られた剣で攻撃を開始した。片手剣上段突進技《ソニックリープ》がヒースクリフへ殺到する。
「ぬおっ……!!」
ヒースクリフが十字盾を掲げてガードする。構わず上下左右へと攻撃を浴びせ続ける。ヒースクリフの反応がじわじわ遅れていく。
行ける!
俺は最後の一撃が奴のガードを超えることを確信した。盾が右に振られすぎたそのタイミングを逃さず、瞬時に右手に握られた剣を左手に移した。左からの攻撃が
光芒
(
こうぼう
)
を引いてヒースクリフの体に吸い込まれていく。これが当たれば、確実にヒースクリフのHPは半分を割り、デュエルに決着がつく。
しかし、この時、世界が止まった。
「……ッ!?」
ほんのわずか、時間が世界から盗まれた感じがした。
クロックアップ!?……いや違う!?
何十分の1秒、俺の体を含む全てがぴたりと停止した気がした。ヒースクリフ1人を除いて。右にあったはずの奴の盾が、コマ戻りの映像のように瞬間的に左に移動し、俺のとどめの一撃を弾き返した。
「なっ!?」
技をガードされた俺は、致命的な硬直時間を課せられた。ヒースクリフがその隙を逃すはずもなかった。
憎らしいほど明確な、ピタリと戦闘を終わらせるに足るだけのダメージが右手の剣の単発突きによって与えられ、俺はその場に倒れた。視界の端で、デュエル終了を告げるシステムメッセージが紫色に輝くのが見えた。
戦闘モードが切れ、耳に渦巻く歓声が届いてきても、俺は呆然したままだ。
「ネザー!!」
駆け寄ってきたキリトの手で助け起こされる。
「………」
キリトが、未だ呆然としたままの俺の顔を心配そうに覗き込んできた。
負けたのか__。
俺は先ほど起きた現実をまだ受け止められずにいた。
攻防
(
こうぼう
)
の最後にヒースクリフが見せた恐るべき反応は、プレイヤー__人間の限界を遥かに超えていた。あり得ないスピード故か、奴の
仮想体
(
アバター
)
を構成するポリゴンすら一瞬ブレたのだ。
地面に座り込んだまま、やや離れた場所に立つヒースクリフの顔を見上げる。
勝利者の表情は、なぜか険しかった。金属質の両眼を細めて俺を
一瞥
(
いちべつ
)
すると、真紅の聖騎士は物も言わずに身を
翻
(
ひるがえ
)
し、嵐のような歓声の中をゆっくりと控え室に消えて行った。
奴は、確かに人間だ。なのに、あの速さはなんだ?なんであんな動きを……?
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