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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
二刀流
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運悪くリザードマンの集団に遭遇してしまい、俺達9人が最上部の回廊に到達した時には安全エリアを出てから30分が経過していた。途中で軍のパーティーに追いつくことはなかった。

「ひょっとしてもうアイテムで帰っちまったんじゃねぇか?」

おどけたようにクラインが言ったが、俺達は皆そうではないと感じていた。わざわざマッピングデータまで手に入れたのだから。長い回廊を進む足取りが自然と速くなる。

半ばほどまで進んだ時、不安が的中したことを知らせる音が回廊内を反響(はんきょう)しながら俺達の耳に届いてきた。咄嗟(とっさ)に立ち止まり耳を()ませる。

「あぁぁぁぁ……」

かすかに聞こえた声は、間違いなく悲鳴だった

モンスターのものではない。俺達は顔を見合わせると、一斉に駆け出した。敏捷力(びんしょうりょく)パラメータに勝る俺、キリト、アスナの3人がクライン達を引き離してしまう恰好になったが、この際構っていられない。青く光る濡れた石畳(いしだたみ)の上を、先ほどとは逆の方向に風の如く疾駆(しっく)する。

やがて、彼方にあの大扉が出現した。すでに左右に大きく開き、内部の闇で燃え盛る青い炎の揺らめきが見て取れる。そしてその奥で(うごめ)く巨大な影。断続的に響いてくる金属音。そして悲鳴。

「バカッ……!」

アスナが悲鳴な叫びを上げると、更にスピードを上げた。俺とキリトも追随(ついずい)する。システムアシストの限界ギリギリの速度だ。ほとんど地に足を付けず、飛んでいるに等しい。回廊の両脇に立つ柱が猛烈なスピードで後ろに流れていく。

扉の手前で俺達3人が急激な減速をかけ、ブーツの(びょう)から火花を撒き散らしながら入り口ギリギリで停止した。

「おい!大丈夫か!」

キリトが叫びつつ半身を乗り入れる。

扉の内部は、地獄絵図だった。

床一面、格子(こうし)(じょう)に青白い炎が噴き上げている。その中央でこちらに背を向けて屹立(きつりつ)する、金属質に輝く巨体。青い悪魔《ザ・グリームアイズ》だ。

禍々(まがまが)しい山羊の頭部から燃えるような呼気を噴き出しながら、悪魔は右手の斬馬刀(ざんばとう)とでも言うべき巨剣を縦横に振り回している。まだHPバーは3割も減っていない。その向こうで必死に逃げ惑う、悪魔と比べて余りにも小さな軍の部隊。

もう統制も何もあったものでもない。咄嗟(とっさ)に人数を確認するが、2人足りない。殺られたか、結晶で転移したか__。

そう思う間にも、1人が斬馬刀(ざんばとう)の横腹で薙ぎ払われ、床に激しく転がった。HPが赤い危険域に突入している。どうしてそんなことになったのか、軍と、俺達のいる入り口との間に悪魔が(じん)取っており、これでは離脱もままならない。キリトは倒れ
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