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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十一話 家族のかたち
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「ラスト一本、行くぞ!」

「はぁ、はぁ……う、うん!」

 砂埃が所々目立つバリアジャケットに、肩まで上がるほどの荒い呼吸。

 海鳴にある小さな山の上は、夕から夜になると人一人訪れない場所になる。

 そのため、灯りの類のものは設置されてなく、魔力が発する光のみが辺りを照らしていた。

 俺、小伊坂 黒鐘は高町に魔導師としてのスキル向上のための訓練をしている。

 普段はユーノも交えてやってるんだけど、ジュエルシードがどこにあるか独自に調べたいと要望があったので、広い範囲でないこととすぐに連絡することを条件に単独行動をとらせた。

 高町本人たっての希望でもあったし、今後のジュエルシード回収やそれに伴って発生する戦闘によるダメージを最小限にするために俺はそれを受け入れ、人生初の教導官的なことをすることとなった。

 とはいえ、俺は素人に魔法を教えたことなんてないし、むしろ教わってばかりの身だ。

 訓練内容の組み立てはアマネとレイジングハートの二機に任せてもらい、俺はそれを実行しているだけだから、教導官と言うよりは訓練用のマシーンみたいな立ち位置になってる。

 俺としても魔法やデバイスの使い方を復習できるから、正直かなり楽しい。

 学んでばっかりで、分からないことばかりの俺が、色々あって誰かに魔法を教えているなんて思うと不思議な気分だ。

《マスター。 いくら訓練とはいえ、そこまで思考を逸らされると困ります》

「おっと、ごめん」

 考え事ばかりなのは相変わらず、かな。

 俺はアマネにも謝罪をしつつ、俺の攻撃を防ぐ高町の動きを指摘する。

 銃の形態となったアマネによる魔力弾の発射。

 軌道は放物線状だったり、渦を巻いたり、稲妻のような曲線だったり、はたまた背後からだったりとパターンは様々。

 それを高町は同じ魔力弾をぶつけて相殺したり、プロテクションによる防御や、身体を魔力強化して回避するなどで対応しなければいけない。

 で、魔導師としての経験が少ない高町は当初、様々な方向から襲い来る魔力弾を恐れて全体に大型のプロテクションを張って守り一辺倒になってしまっていた。

 甲羅に篭った亀さんと言った防御な上に、無駄に大きなプロテクションだったから魔力消費が激しすぎてすぐにバテた。

 保有魔力がとんでもなく多い高町だけど、魔法の使い方が不慣れなために一つの魔法に余分な魔力消費が目立っていたんだ。

 フルマラソンを最初から全力疾走したって途中でバテるってそういうことなんだ。

 だから当初は魔力の運用方法を実戦を用いて学ばせ、現在はその点を克服した。

 そこから高町も俺の魔力弾に慣れてきたのか、防御だけでなく回避することもできるようになった。

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