暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第150話 その火を……飛び越えるのか?
[2/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、世界に大きな影響が出て来るその前に、元の黙示録で予言された歴史に向かう流れから、別のもっと安全な流れの方に戻される可能性の方が高いと考えるはず」

 この世界の名づけざられし者は何故か、全にして一、一にして全(ヨグ=ソトース)の属性を帯びさせられているので、こう考える方が妥当。
 そもそも、情報統合思念体が関心を惹こうとしたのはコイツの方。その為に打った策は、暴走した朝倉涼子が彼を襲い、そのギリギリのタイミングで長門有希に助けさせると言う物。しかし、その策は、後の七月七日にその名づけざられし者自身が自称未来人の朝比奈みくるに連れられて一九九九年の長門有希に未来の情報を渡す事や、その他の事象から、思念体自体が、朝倉涼子暴走事件が発生する事や、長門有希が十二月に事件を起こす事を最初から知っていた可能性に気付くはず。
 少なくとも、何らかの形で……。例えば、彼らの能力で情報だけでも時間移動が可能だと言う事は簡単に想像が出来るでしょう。

 この場合、普通に考えると、未来を知っているのに事件を防ぐ手立ても行わず、その結果、俺は何度も死に掛かったのか、……と考え、それ以後、長門有希と思念体の事を信用しなくなる可能性の方が高いと思うのだが。

 (しか)るに、その事を何故か思念体は考慮する事もなく、そんなチャチな策を実行し続けた、と言う事は、この名付けざれし者自体がクトゥルフ神族特有の現代人として必要な知能や思考、判断する能力を有していない存在だったのか……。
 もしくは、そもそも、その事さえ欺瞞で、初めから思念体とこの名づけざられし者は裏で繋がって居て、朝倉涼子の暴走も有希に心を発生させる為の手段に過ぎず、その後の数々の事件により心の疲弊した彼女が、終に十二月に事件を起こし失敗。その結果の絶望した魂を邪神の贄としたのか。

 今となっては、真相は藪の中。
 まぁ、自らが本名を明かす事なく現代社会で暮らしている事に気付かないほど、思考能力が欠如した現代人が居る……とは考え難い。そもそも、日常生活に於いて友人関係から通称や仇名を呼ばれる()()で過ごして行けるのならば、それでも何とかなるのかも知れないが、現代社会と言う場所ではそう言う訳にも行かない。
 ほぼひとつの村落内で話が完結するような時代ではない。

 確かに、そう言う呪を掛ける事も可能だとは思う。例えば、自らの名前を名乗る瞬間、名前を呼ばれる瞬間、更に、某かの書類に自らの名前を書き込む瞬間にその場に居る全員……当然、自分を含むすべての人間の意識が混濁して、その瞬間に何があったのか分からなくする。答案用紙に書かれた名前も、それを見る度に見た人間の意識を吹っ飛ばせるような強力な呪を。
 但し、それはあまりにも意味がない。確かに、其処に発生する矛盾は凄まじい物があると
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ