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=入試編= シンロセレクト
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初めてかも」などという先刻と正反対なちょっぴり恥ずかし気なことを考える余裕まである。

「ふう、間一髪!ロボの図体がデカくて命拾いしたぜ」
「………えーっと、どういう状況なの今?熱い抱擁を受けてるのと暗さのせいで状況が飲み込めないんだけど」
「うん。ちょっと逃げ切れそうになかったからロボットの装甲のデコボコを見極めて助かりそうな隙間に入ったんだよ。ちょっと窮屈かもだけど……んしょっと!」

 それって「ね?簡単でしょ?」的なノリで出来ることなのだろうか。少なくともあの巨体を見てすぐに諦めた葉隠にはたどり着けないっぽいことは確実だろう。
 もし彼が30pでも離れた場所で葉隠を庇っていたら……それ以前に逃げるのを諦めず無謀にも葉隠を抱えて走り出していたら……そんな最悪の未来が待っていたかもしれないというのに、彼は平然と、寸分狂わず「正解」にたどり着いた。

 判断力があるとか、観察力があるとか、そういう次元で出来る行動では断じてない。

 本当に未来に状況が「そう」なると絶対的に確信していなければ不可能だ。

 葉隠の体を抱えたまま少年は屈んだ体勢で前に体を引きずり、やがて外の光が葉隠の眼に視覚情報を送り込んでくれた。どうやら自分たちは本当に巨大ロボットの装甲の隙間にいるらしい。段々と隙間は大きくなり、外へ外へと導く出口のようだった。

 がっちり抱きしめられた体勢のまま何を言えばいいのか分からないまま引きずられていると、再び足を抱えてお姫様抱っこの体勢に変わる。直後、試験官のプレゼント・マイクの馬鹿でかく拡声された声が広大な空間に響き渡った。

『終ッ!了〜〜〜〜〜ッ!!』

 かくして、葉隠透は自分でも自覚がないまま運命を塗り替えられ、試験を無事生き延びた。
 呆然と自分の上を見上げると、そこには水色の髪を靡かせた少年の満足気な笑顔が待っていた。今もあまり実感が沸かないのだが、彼が駆けつけてくれなかったら自分はあの重量に押し潰されて新でいたのかもしれない。
 少年の顔がこちらを見る。太陽の逆光のせいか、その表情はとても眩しくて――。

「キミを助けられてよかった」

 オールマイトみたいなそれとは違うけれど、思わず憧れてしまいそうなほどに格好良かった(ヒーローだった)

「あ、やばっ………個性使いすぎの反動で、眠気が………すぴー」
「え、ちょっと待っ……私抱えたまま寝るの!?しかもこれ寝てるのに手が離れなくてお姫様抱っこ解除されてないし!?なにこれ!?なんなんこの羞恥プレイ!?」

 ………やっぱり格好良くないのかもしれないと葉隠はすぐに正気に戻った。

 なお、この後立ったまま爆睡した水落石の口から垂れた涎が葉隠にかかって悲鳴があがったり、リカバリーガールが飽きれ顔で立ち爆睡中の水落石を蹴
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