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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第46話 展望
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ても―――根本的な所で壊れている。
 必死に人間らしくあろうと、人間を演じる人形(ロボット)の域を出ないだろう。

 逆に、必死に機械であろうとする人間もまた似たような存在だが……そのような半端モノには何を成し遂げることも、何かを勝ち取ることも出来ないだろう。

 何となくだが確信がある―――(おれ)は、ゆいを喪い、唯依に出会うまでの間。
 私心を滅し、より多くを救い少数を切り捨てる機械のような生き方をしていたからだ。

 その末路を何となくだが察することが出来る。
 自分を愛していない人間に、芯のない空虚な木偶人形が何処へ歩いて行けるはずもないのだから。


「……じゃあ、一つ私が楽しみにしていたこと言ってもいいですか?」
「なんだ?」

「お弁当を作ってきたので、その……一緒に食べませんか?」
「ずいぶんと可愛らしい我儘だな。いただくよ。」

 おずおずとバスケットから風呂敷に包んだ弁当箱を取り出す唯依、後生大事に抱えていたから何かと思ってはいたが―――
 割と早い時間にこの列車に乗った。つまり、昨夜のうちから準備して早起きして用意したということだ。

 何を想って、そのおかずを作り詰めていったのか―――そのいじらしさを想像すれば穏やかな多幸感を覚えるのも無理からぬこと。

「あの……お弁当作るのは久しぶりで……その、お口に合わないかも……」
「お前の料理の腕は知っている、心配はしてないよ。それに、お前が(おれ)を想って作ってくれたのだとすれば不味くなんぞなるわけあるまい。」

 そう答えつつ唯依が開いた包みの中にあった弁当箱を受け取り、客席の窓に備え付けられた台に置くとその蓋を開く。

 目に入るのは色とりどりのおかず、そしてご飯が詰まっているだろう段には丁寧に一口サイズの球形のおにぎり……わかめご飯、梅紫蘇など傍目にわかるだけでバリエーションを作って、凝っている。

 甘辛く味付けされたコンニャクと牛蒡の炒め物も丁度いい塩梅によく味が染みている。牛の煮込みも非常に柔らかい。

 心底丁寧な下ごしらえ無くしてあり得ない料理の数々が詰まっていた。
 ここまで真心を感じる弁当は―――本当に久しぶりだ。

「……………」
「あの、どうしたんですか……?やっぱり」

 やっぱり適当な駅で弁当を買ったほうが良かったのだろうか、唯依がそう言おうとしているのが手に取るようにわかる。
 それに対し、首を左右に振る。

「いや、感心していたんだ。準備、大変だっただろ?」
「いえそんなことありません!どれも簡単な料理ばかりですし!」

 簡単だが、其れゆえ極めるは至難。簡単だからこそ、きちんと美味しく作るには繊細な手間暇が必要とされる。真心がなければ此処まではできない。

「じ
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