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俺の四畳半が最近安らげない件
事故物件
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ばいいのだ。下手すると俺の正気を疑われるし、大家さんだって自分の物件に変なケチつけられていい気はしないよな。それより何より、さっき三ノ宮が言ってた水子とは。
「…なぁ、ここ2階だよな。上に人は住んでないよな」
三ノ宮が、また何か余計なことに気が付いたらしい。
「ああ。2階建てだ」
「押入れの上に、屋根裏あるか」
「見たことないけど、羽目板みたいなのはあったから。そこから入れるんじゃね」


―――まさか、いやそんな。


「…行くぞ」
「いや、なんかやめとかね?嫌な予感しかしないんだけど」
「…分かる。分かるけど、『ある』なら一番手っ取り早いよな」
壁は、無断で壊すわけにはいかないし…そう呟く三ノ宮の手が震えていた。…その通りだ。『あるかもしれません』より『ありました』のほうが、問題はぐっと解決に近づく。

 数回に渡るジャンケンの結果、俺が屋根裏を覗くことになった。古びた羽目板を外すと、むわりと饐えたような匂いが辺りを満たした。…懐中電灯の光が、不吉な暗がりを細く照らし出す。その光が、ふいに布で包まれた5つの塊を捉えた。
「……っぐ」
足がすくんだし、吐き気がした。この後、もっと嫌な作業が待っているのかと思うと。…後から顔を覗かせた三ノ宮が、ガタガタ震えながら端っこの塊を指さした。
「布、解かなくていいぞ。もう分かった」
布の端から、小さな足の骨が覗いていた。


―――気が付いたら、俺はとんでもない大声で叫びながら玄関先で三ノ宮に取り押さえられていた。


「お、おおお大家に!」
取り乱しながらも人は不思議なもので、靴はいて鞄を持つものだ。俺は混乱しながらも身支度はきっちり済ませていたようだ。
「わ、分かったとりあえず出よう。ファミレスで落ち着いて、朝になったら行こう。この時間にこのテンションで乗り込んだら通報されるぞ」
言いながら三ノ宮がドアを開けると、外階段辺りの暗がりに大家が立っていた。
「わ、わぁああ大家さん」
「どうしたの、なんか大声したから…」
眠いところを起こされたからか、少し不機嫌そうだった。俺は安堵で崩れ落ちた。よ、良かった。
「あぁすみません。さっきこいつ、延滞しまくりのDVD見つけちゃって」
大家さんに駆け寄ろうとしたところを取り押さえられ、俺は思わず三ノ宮を睨み付けた。
「何でだ」「黙れ」
三ノ宮は低い声で呟くと、俺から鍵を奪い取り、勝手に掛けた。
「ま、大出費ね。家賃はちゃんと入れてね。うふふふ」
「ははは…ちょっとツタヤ行ってきます」
戻っていく大家と距離を置くようにして階段を降りると、三ノ宮は全力でダッシュした。
「おおおい、何だよさっきから!!ファミレス逆方向だぞ!!」
「馬鹿、このまま警察行くんだよ」
「何で!?」
「さっき、あの大家が
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